妊活コラム
Ninkatsu Column
東洋医学からみた「生殖医療」 ~妊活の根幹を司る【腎(じん)】~
桂川レディースクリニック こうのとり鍼灸の船越登紀夫です。
今回のコラムでは、妊活中の方が心身ともに
健康な体づくりを進める一助となるために、
東洋医学的養生法をご紹介します。
東洋医学では、人の体は「気(エネルギー)・血(栄養)・水(体液)」で
できていると考えています。
生命活動を維持する五臓には「肝、心、脾、肺、腎」があり、
その中でも「腎(じん)」は、生命活動の基盤となるエネルギーを
司る重要な臓腑です。
ここでいう「腎」は、西洋医学でいう「腎臓」の働き(尿を作る)も含みますが、
それ以上に「生殖・成長・老化」といった、
人が生きる上での根源的なエネルギー(精=せい)を
貯蔵している場所と東洋医学では捉えています。
「腎」の役割と妊活
「腎」の最も大きな働きは、精(せい)を貯蔵することです。
この「精」が、卵子や精子の質、子宮内膜の厚さなど、
「妊娠の基盤」となる力として考えてられています。
さらに「腎」は、性ホルモンの分泌や妊娠を維持する力、
体の水分(水)の巡り、
そして骨や髪といった基礎体力まで広く司っています。
つまり、「腎」が元気であれば、
体の中に力強い生命エネルギーが満ちてくるということです。
けれど、ストレスや夜更かし、過度な疲労などで、
この「腎」が疲れてしまうと
- なかなか疲れが取れない
- 冷えが強い
- 腰や膝がだるい、痛い
- 生理の周期や経血に乱れが出る
- 不安感、パニックになりやすい
…などの症状がみられるようになります。
この「腎」の働きが弱っている状態を、
東洋医学では「腎虚(じんきょ)」と呼びます。
「腎虚」の状態は、西洋医学でいう「ホルモンバランスが崩れた状態」や
「自律神経失調症」でもあり、
当然ながら「妊娠の土台」が揺らいでしまうことになります。
「腎」を守るための間違った努力
「体を冷やさないように気をつけている」
「健康的な食事を心がけている」
「ストレスを溜めないように努力している」
こうのとり鍼灸に来られる方から
上記のような話をお聞きすることがあります。
けれど、その努力が「腎」に届いていなかったとしたらどうでしょうか。
例えば、ネット検索。
妊活に効果的なものを探すために、
インターネット上をさまよい続けていませんか?
結果として睡眠不足になり、体と心を疲弊させ、
余計に不安が大きくなったりしていませんか?
運動も同じです。
妊活に良かれと思っていても、やりすぎると体力を消耗してしまい、
結果的に「腎」のエネルギーを使い果たしてしまうことになります。
無理な食事制限も同じです。
栄養不足は「精」を作る材料を減らしてしまいます。
実は、妊活中に陥りやすい落とし穴は、
「良いこと」と「無理」を混同してしまうことなんですね。
ですから皆さんには、「腎」を消耗するような努力ではなく、
「腎」を養い、守る養生法を身につけていただきたいと思っています。
【腎の養生】を意識した生活のチェックと実践
「腎」の力を高めるためには、日々の生活習慣が重要です。
とはいえ「無理」をすることなく、
ご自身ののペースで、「腎」を意識した養生を始めてみましょう。
1. 毎日の【腎】チェックをしてみましょう
まず、「腎」の状態を知っておきましょう。
以下の項目で、当てはまるものが多ければ、
「腎」が弱っている可能性があります。
少し立ち止まって妊活を見直すタイミングかもしれません。
- 朝起きても疲れが残っている(5時間以上)
- 足首や腰回りが年中冷たい
- 夜中にトイレに起きることがある
- 耳鳴りがすることがある
- 髪の毛が細くなったり、抜け毛が増えたと感じる
- 集中力が続かず、物忘れが増えた
- 季節の変わり目に体調を崩しやすい
2. 【腎】を温存する養生法: 3つの「しない」こと
「腎」のエネルギーは、一度使い果たすと回復に時間がかかります。
まずは、無駄な消耗を避けましょう。
消耗しすぎることを「しない」
夜更かし
午前0時を過ぎての活動は「精」を最も消耗します。
できる限り、日付が変わる前に寝る習慣に切り替えましょう。
激しい運動
息が上がるほどの運動は、一時的に「気」と「水」を消耗します。
ウォーキングやストレッチなど、
「少し汗ばむ程度」のゆるやかな運動に切り替えましょう。
心配のしすぎ
「不安」という感情は、東洋医学では「腎」のエネルギーを乱すと考えます。
心配事を紙に書き出すなどして頭の中を整理し、
脳の疲労をためないようにしておきましょう。
3. 【腎】を養う養生法: 3つの「する」こと
次に、「腎」に活力を与える養生法をご紹介します。
温めて「守る」ことを「する」
足首と腰を温める
東洋医学で「腎」の経絡(エネルギーの流れる道)は足の裏から始まります。
レッグウォーマーや腹巻き、カイロなどで、
足首、足裏、腰を積極的に温めましょう。
入浴で体を芯から温める
シャワーで済ませず、湯船に10分〜15分浸かりましょう。
特に冬場は、40度程度のぬるめのお湯で体の芯から温めるのが効果的です。
「腎」を補う食事を「する」
「腎」を補う食材の色は、
一般的に黒色やねばねばしたものと言われています。
- 黒い食材: 黒豆、黒ごま、ひじき、昆布、わかめ、きくらげ
- その他の食材: 山芋(長芋)、クルミ、海老、栗
おすすめの摂り方として、
黒ごまときな粉を混ぜて牛乳やヨーグルトに入れたり、
お味噌汁にわかめや根菜をたっぷり入れるのがおすすめです。
手軽に取り入れられる工夫をしてみてくださいね。
【最後に】
上記のような「腎」の養生を今日から始めてみてください。
続けていくうちに、きっと体の中から変化を感じられるはずです。
- 疲れを感じにくくなった
- 以前より冷えを感じなくなった
- 不安に支配される時間が減った
…という小さな変化がみられてきたとしたら
それは「腎」の力が回復している証拠です。
すぐに目に見える結果が出るものではないかもしれませんが、
ご自身にとって「正しい努力」を続けることが良い結果につながるはずです。
もし、今、ご自身の体の状態がよく分からず不安でいっぱいなら、
一人で悩まずに、どうかご相談ください。
あなたの体と心が、本来持っている「妊娠力」を取り戻せるように、
協力させていただきます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
桂川レディースクリニック併設 こうのとり鍼灸はこのような方におススメです。
◇ 冷えが気になる
◇ 疲れが取れない
◇ 自律神経が乱れているかも?
◇ 運動不足で代謝が悪い
◇ ホルモンバランスが悪い
◇ ストレスが溜まっている
もし、当てはまるものがあれば、
こうのとり鍼灸に相談に来てくださいね。
「健康」に近づけ、一緒に妊娠しやすい身体づくりをしていきましょう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【こうのとり鍼灸ルーム】
開催日:毎週水・土曜日 14:00~19:00
受付時間(14時・15時・16時・17時・18時)*施術時間は40分程度
場所:当院4階 エステルーム
料金:不妊治療サポート(鍼灸治療、自律神経調整を含む) 7,000円(税込)
担当:船越鍼灸整骨院 船越 登紀夫
*ご予約は1回分ごとの受付になります
◇ 船越鍼灸整骨院 → https://funa-in.com/