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妊活コラム

Ninkatsu Column

「あなたのペースで理解しながら一歩ずつ進んでいけますように」

酒井まゆみ/不妊症看護認定看護師
酒井まゆみ/不妊症看護認定看護師

妊活に向き合う毎日は、
「妊娠のためにできることを、一つずつ丁寧に積み重ねている時間」

——そんな連続ではないでしょうか。

薬の時間を守ること、注射を忘れずに打つこと、
通院の予定を調整すること…。

まじめに、必死に、できることをきちんとやろうとする気持ちは、
きっと誰もが抱いている思いだと思います。

けれどその一生懸命さの中で、
ふと、心と体が追いつかなくなることもあります。

それは、精一杯向き合っているからこそ生まれるもの、
“がんばっている証” だと思います。

卒業された方のアンケートにも、こんな声がありました。

「お薬のことをあまり理解しないまま、
とにかく時間どおりに飲む・注射することだけを頑張っていて…。
途中で“何のためにこんなにたくさん使っているんだろう”と
心がついていかなくなった時期がありました。」

意味が分からないまま続ける治療は、
心にも体にも大きな負担がかかります。

身体は頑張っているのに、心だけが後ろに置いていかれるような感覚。

そんな思いを抱える方は、決して少なくありません。

・よくわからないまま言われた薬を飲むしかない

・気持ちが追い付かない

・赤ちゃんは欲しいのに、これでいいのか迷いがでてくる

・心の余裕がなくなってきた

こんなふうに感じてしまうこともあります。

しかし、治療の意味を理解し、
「自分の体が今どんな状態で、なぜこの薬が必要なのか」
を知ることで、大きく変わることがあります。

「意味が分かると、全然違うんですね。
自分の体のために“やってあげている”気持ちになって、
納得して薬を飲めるようになりました。気持ちが軽くなりました。」

そんな言葉を聞くこともありました。

知ることは、安心につながります。

理解は、納得して前に進むための力になります。

もちろん、いつも前向きでいられる日ばかりではありません。

揺れる日、力が入らない日、心がついてこない日…。

そんな日があるのは、とても自然なことです。

その中でも、ほんの少しだけ

“自分の体を優しく見つめる時間” が持てると、
心はすこし呼吸しやすくなります。

たとえば、このホルモンは子宮の内膜を厚くしてあげるホルモン

・内膜がふんわり育っていくイメージ

・受精卵が座りやすい場所を整えているイメージ

そんなふうに、自分の体をあたたかく感じてみること。

“ポジティブに頑張らなきゃ” と気負うのではなく、
“今の自分に起きていることをやさしく受けとめる” という感覚です。

今日のあなたの体の働きも、薬の役割も、
すべては “次へつながるためのひとつひとつ”。

そして「意味を知ること」は、
治療を“自分のものとして進められる感覚”を育ててくれます。

焦らなくて大丈夫です。

無理に元気を装う必要もありません。

あなたのペースで、理解しながら、一歩ずつ進んでいけますように。

妊娠へのいいイメージがもてますように。

そんなふうに治療と向き合える時間を、
これからもそっと支えていきたいと思っています。