院長の不妊治療ブログ第20回 女性の肥満と不妊の関係4 子宮内膜の受精卵受容態に対する肥満の影響!
スタッフブログ
皆さん、こんにちは
桂川 レディース クリニック院長・生殖医療専門医の 桂川 浩 です。
肥満症に関しては世界中で増えている傾向があり、
オーストラリアでは、1995年に肥満症の割合が5%、
2015年には60%と急激に上昇しているそうです。
肥満が健康に悪影響を及ぼすことは、
周知の事と思いますが、急激に肥満率の上がったオールトラリ アでは、
「女性の肥満と不妊症」についての興味ある論文が報告されました。
その中で、「肥満が不妊症に対してどのような悪影響を及ぼすか」
についての詳細な記述があり、
その内容を簡単に説明しますね。
肥満によって妊孕能(妊娠する能力)が低下し、
不妊症の可能性が高まる。
その原因として、
- 間脳ー下垂体ー卵巣系の機能異常
- 卵子の質の低下
- 子宮内膜の受精卵受容能の低下
が考えられるそうです。
特にBMIの値が高いほど妊娠率が低下するそうです。
今回は第4弾として「子宮内膜の受精卵受容能に対する肥満の影響」
についてお話します。
卵子細胞と胎児は、肥満(BMIの程度)に左右されるパラクライン的、
内分泌学的、生物化学的環境の変化にさらされています。
それゆえ、卵子細胞の質が肥満(BMI値)に影響されるかどうか、
また子宮内膜環境が肥満(BMI値)に影響されるかどうか
という疑問か生じてきます。
卵子提供を受けて治療した群で調査したところ、
肥満(BMIの程度)と妊娠率の低下との間で相関関係を認めた。
また子宮内膜の受精卵受容能(インプランテーションウインドウ)を
遺伝子発現で調べた結果、肥満を伴うPCOS患者において
子宮内膜の遺伝子レベルでの機能低下を認めた。
正常BMIドナーからの卵子提供で治療した9500例以上で調査したところ、
正常BMI患者に対して肥満群の患者では、
統計的に着床率、臨床妊娠率ともに不良であった。
また生下時体重に関して、
正常BMI患者群に比べ肥満の患者群では
生まれた赤ちゃんの体重が27%ほど軽かったそうです。
なるほどですね。
当院では、管理栄養士による「からだに優しいダイエットの栄養指導」
を受けていただけます。