妊活コラム
Ninkatsu Column
精子調整 ~人工授精(AIH②)》
こんにちは、培養部です。
冬の寒気が身にしみる頃となりましたが、
皆様お元気でお過ごしでしょうか?
お布団🛌から出たくなくなる時期なので、
二度寝しそうになりますね。(私だけでしょうか😪?)
今年も残すところ僅かになってきましたね。
前回は『AIHとは?』についてと、
『AIHの調整方法』についてお話させて頂きました。
今回はこの調整方法について少し掘り下げてお話したいと思います。
培養液の上に精液を重層させて遠心機にかけるのですが、
この培養液を正確には精子密度勾配遠心用培地(以下、遠心用培地)といいます。
培養液を販売されている会社からいろんな種類の培養液が販売されていますが、
それぞれのクリニック様で培養液に関してしっかり検討をされ、
最適と思われる培養液を使用されていると思います。
当院でも、1種類の培養液をずっと使用し続けているわけではなく、
より良い培養液であると確認できた場合は変更することもあります。
話を戻しますね。成熟精子の密度が1.11~1.12といわれていますが、
未熟精子や死滅精子や奇形精子などは密度が
成熟精子より小さいと言われているため、密度の違いにより分離します。
遠心後、遠心用培地により未熟精子や死滅精子や奇形精子などは上清に、
逆に成熟精子は密度が大きいため下に沈殿します。
また白血球や細菌などもこの遠心用培地により除去することができます。
ただしこの遠心用培地を使用したとしても、100%分離でき、
運動精子濃度を高めれるわけではありませんのでご了承ください。
当院の妊娠方法別妊娠率(2017~2020年)
※妊娠率は1周期あたりの「めやす」です。
不妊原因、女性の年齢などにより大きく異なります。
2017~2020年の当院のAIH妊娠率が4.9%となっていますが、
1周期当たりの妊娠率ですので、累積妊娠率とすると、
3.4回まで増えていきますが多くの場合6回くらいで妊娠率も横ばいになります。
ですので、患者様にはAIH3,4回でARTへのステップアップにむけての
IVF説明会のご案内をさせて頂いております。
ただし年齢やAMH、精子所見など様々な患者様背景により、
早い時期にARTへのステップアップをお勧めさせていただく場合もあります。
また患者様のご希望によりタイミングからAIHを経ずに
ARTへのステップアップをご希望される場合もありますので、
ご希望がございましたら、医師やスタッフまでお申し出下さい。
また、精子所見が不良で、当院の基準値よりかなり外れている場合は、
医師と相談の上AIHを施行させて頂きますが、
精子所見がかなり不良な場合が続きますと、
医師よりARTへのステップアップを勧められる場合もございます。
精子所見がかなり不良である場合、妊娠率が低くなると予想されますが、
妊娠の可能性が全くないわけではありません。
下記に精子所見が不良で妊娠された患者様のデーターをご紹介致します。
人工授精において妊娠に至った患者様の精子濃度が一番低かった精液所見
調整前 | 調整後 | |
精液量 | 5.8mL | 0.5mL |
精子濃度 | 240万/mL | 1400万/mL |
運動率 | 12.5% | 78.6% |
前進運動率 | 30% | 85% |
調整前の液量が多かった為調整後の精子濃度も改善でき、
運動率や前進運動率も改善されていました。
ですので、原精液の状態だけではなく、
洗浄濃縮してみて判断する場合もあります。
今回で一旦AIH編は終了となり、今年の培養からの妊活ブログも終了となります。
また来年もよろしくお願い致します。
最後までご覧頂きありがとうございました!😊👋