妊活コラム
Ninkatsu Column
「漢方薬」について Vol.1
桂川レディースクリニック こうのとり鍼灸担当の船越です。
今回は、患者さんからご相談の多い「漢方薬」についてです。
「不妊症に漢方薬って効くんですか?」とか
「妊娠するためにはどんな漢方薬を飲めば良いですか?」とか
色々とご相談を受けることがありますので、何回かに分けてご紹介していきます。
~~細胞と体液~~
まず、身体の基礎知識です
ヒトの身体の細胞数は40兆あると言われています。
身体の60%は水で出来ていて、細胞たちの間を「体液」という形で満たしています。
言わば細胞たちは、「体液」という水の中を泳いでいる金魚みたいなイメージです。
体調が崩れたり、病気になるというのは、
細胞である金魚の具合が悪くなるからです。
西洋医学のお薬は、具合が悪くなった金魚が元気になるように働きかけます。
だから、「直接的」で「即効性が高い」のです。
東洋医学では細胞である金魚が悪くなる原因を「金魚鉢の水にある」と考えます。
金魚の周りの水が、汚れたり、少なくなったり、
きれいな水に入れ替わらなくなったりすることで、
細胞である金魚の具合が悪くなって身体が病気になると考えるのです。
一方で、東洋医学で使う「漢方薬」は、
具合が悪くなった金魚を元気にするために、
金魚鉢の水がきれいになるように働きかけます。
金魚鉢の水がきれいになれば、金魚が泳いでいる環境も良くなり、
金魚も元気になって病気も治る、という考え方です。
「体液」である「金魚鉢の水」を整えていくということですから
「体質改善」が期待できるワケですが、
「間接的」なため「効果が現れるまでに時間がかかる」のです。
~~「漢方薬」って何?~~
まず「漢方」とは、
我が国(日本)において、「漢(中国)」から伝来した知識や技術を元に、
日本の風土に合わせて発展した医学です。(※ 「中医学」とは別物です。)
「漢方薬」とは、
「生薬(しょうやく)」を原料に作られたお薬のことです。
「生薬」とは、
薬効のある、動植物を乾燥させたものや、鉱物のことを言います。
(貝殻とか熊の胆石とかもあります)
ちょっと、ややこしくなってきましたね…。
分かりやすく説明しますと、
漢方薬は「料理の名前」で、生薬は「材料の名前」と思っていただければ良いです。
例えば、「ハンバーグ」は、料理の名前です。
材料は、「合い挽き肉、玉ねぎ 、パン粉、卵、塩こしょう」となります。
風邪の引き始めなどによく使われる「葛根湯」の材料となる「生薬」は、
「葛根 、麻黄 、桂皮 、芍薬 、生姜 、大棗 、甘草」です。
つまり、様々な材料(生薬)を使って、色々なお料理(漢方薬)を作るということです。
そして「漢方薬」は、「その人の状態 (証) に合わせて処方する」という
特色があります。
食べさせてあげたい人の「体調」や「好み」に合わせて献立を考えるように、
患者さんの状態 (証) に合わせて効果が出るようにレシピを変えるのです。
(※ 「証」についてはこちらのコラムをお読みください
→ 東洋医学的な「不妊」の例 )
「冷え」が強い方に使うと、
「のぼせ」が強い方に使うものは違うんですね。
同じ「不妊」であっても、患者さんの状態に合わせて漢方は処方されます。
西洋医学のお薬を使いながら、
漢方を併用して徐々に「体質改善」をしていく、
という使い方が「統合医療」の観点から望ましいと思います。
漢方については、
まだまだお伝えしたいことがありますので次回に続きます。