妊活コラム
Ninkatsu Column
卵子や胚を凍らせる!?
こんにちは、培養部です。
先日の雨から気温がグッと下がりましたね。
季節の変わり目は普段より体調やメンタルが変化しやすくなります。
ゆっくり休むことも大切に、日々をお過ごしくださいね。
今回は「凍結」についてお話します。
凍結はこの不妊治療においてとても重要なプロセスの一つです。
皆さんは「凍結」ときいてどのようなものを想像しますか?
身近なのは冷凍庫だと思います。
冷凍庫みたいなもので卵子や胚を凍結しているのかな?
と思われる方もおられるでしょう。
皆さんの家庭にある冷凍庫は-20℃から-18℃ですが、
卵子や胚の凍結には-196℃の液体窒素を用います。
(↑液体窒素は発泡スチロールのケースに入れて扱います。)
冷凍庫と比べてかなり温度の低い液体窒素に入れて急速冷却することで、
卵子や胚へのダメージを最小限に抑えて凍結保存します。
卵子や胚を凍結する理由として
①卵巣過剰刺激症候群の回避
卵巣が腫れることで強い腹痛や嘔気、
呼吸苦などの症状が起こる事を卵巣過剰刺激症候群と呼びます。
採卵した同じ周期に移植して妊娠した場合、
卵巣過剰刺激症候群の症状は増悪されてしまうため、
基本的に得られた胚は全て凍結し、それ以降の周期で移植します。
②移植に適した子宮環境に整える
採卵周期ではできるだけ多くの卵子を得るためにホルモンを多く補充します。
その高ホルモン状態の子宮は着床に不向きであるといわれています。
そのため、採卵周期は子宮を休め、
次周期以降で移植に適した子宮環境に整えて移植します。
③多胎妊娠の回避
2個以上の胚を移植する事で多胎妊娠になった場合、
母体・胎児側双方にリスクがあります。
そのため、移植胚の個数は原則1個と決まっており、
残りの胚は凍結保存して次周期以降に移植します。
④若いときの卵子や胚を保存できる
卵子は出生後新しく作られることはなく、
年齢の影響を大きく受けてしまいます。
そこで若いころに卵子や胚を凍結保存することで
凍結した年齢の妊娠率が期待できます。
但し、移植する際の母体が高齢になると、
妊娠中や分娩に対する産科的リスクは上昇するので注意が必要です。
他にもがん治療に対する妊孕性の温存や遺伝子検査など、
凍結の意義は多くあります。
凍結について少しご理解いただけたでしょうか?
次回は実際にどういうところで
皆様からお預かりした卵子や胚を保管しているかについてお話します。
また次回をお楽しみに!