
妊活コラム
Ninkatsu Column
卵子凍結について~第2回~

こんにちは。培養室です。
先日、大津にも雪が降り寒さも一段と厳しくなってきておりますが、
年甲斐もなく雪だるまなど作って童心に返ってはしゃいでしまいました。
皆様はいかがお過ごしだったでしょうか。
前回、「卵子凍結~第1回~」ということで、
卵子凍結の現状についてまとめさせていただきました。
今回は、「卵子凍結~第2回~」として、
卵子を凍結保存する際に必要な卵巣刺激法について紹介したいと思います。
卵子を凍結保存するためには、卵子を育て、回収する必要があります。
これを採卵といいます。
卵子は卵巣と呼ばれる臓器で作られ、
ヒトは、月経1周期(おおよそ1ヶ月)の間に卵子1個が育ちます。
では、例えば10個の卵子を凍結保存したい
と考えた時に10ヶ月もかかるのですか!?
と思うかもしれません。。。
しかし実際はそこまでの期間は必要なく、
個人差はありますが1~3ヶ月で卵子を複数個凍結保存することが可能です。
それを可能にするのが、卵巣刺激法です。
卵巣刺激法には、様々な方法がありますが、
大きく分けると低刺激法と高刺激法になります。
低刺激法は、注射や服用する薬は少なくて済みますが、
回収できる卵子の数は少ないです。
逆に高刺激法は、注射や服用する薬の数が多いですが、
1度の刺激で回収できる卵子の数が多いです(表1)。
表
1. 各刺激法の比較

卵巣刺激法の決定には、治療時の年齢、
胞状卵胞数や卵巣機能を調べる必要があります。
胞状卵胞数は超音波検査で判断し、
卵巣機能は、卵胞刺激ホルモン(FSH)や抗ミュラー管ホルモン(AMH)などの
ホルモン検査を行います。
第1回でお話しましたが、年齢とともに卵子の数は減少していくため、
一般的には年齢とともに卵巣機能は低くなっていきます。
1度に多くの卵子を育てることができる卵巣刺激法ですが、
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)という副作用のリスクがあります。
OHSSを発症しやすい方の特徴は、
若年、やせ型や多嚢胞性卵胞(PCO)の方、
卵巣刺激法を実施した際にエストロゲンの値が高い方などです。
OHSSの症状は、軽症のものから中等~重等症のものがあります。
軽症の場合、自覚症状がないこともあれば、
軽いお腹の張りを感じることもあります。
この場合、多量の発汗を伴う運動などを避ける必要はありますが、
普段通りの日常生活で問題ありません。
中等~重等症になると卵巣腫大、
肝臓・腎臓機能低下や胸水・腹水の貯留(多量)などの影響で、
強い腹痛、息切れ、全身倦怠感や尿量の低下といった症状が出てきます。
このような症状が出た場合には、
すぐに治療を受けた病院やクリニックに連絡し、
対処する必要があります。
まとめると
卵子凍結や不妊治療を行う際には、
治療時の年齢、胞状卵胞数、卵巣機能などを総合的に判断し、
OHSSの副作用が起こらないように
最適な卵巣刺激法を選択していくことになります。
卵子凍結の前には、卵巣刺激法を選択するための検査や
リスクの説明などを聞いていただく必要があるので、
実際の卵巣刺激法を実施するまでにある程度の時間が必要になります。
気になっている方は一度、
お話だけでも聞いてみてはいかがでしょうか。
長くなりましたが、今回はここまでになります。
ありがとうございました。
次回もお楽しみに