
妊活コラム
Ninkatsu Column
受精卵の移植方法

ここ最近、夏特有の突然の雨に見舞われるようになりました。
セミの鳴き声も増え、「今年も夏がきた」と感じるようになりました。
今年も猛暑が予想されるので、熱中症対策はしっかりしていきましょう!
さて、今回のテーマは
「受精卵の移植」です。
移植とは。。。
培養して得られた受精卵を子宮に戻してあげることです。
移植する方法は、2種類です。
- 新鮮胚移植
- 凍結融解胚移植
新鮮胚移植では。。。
採卵した後、受精卵を凍結せずに
採卵した同じ周期で移植を行います。
凍結融解胚移植では。。。
採卵した後、受精卵を凍結保存し、
別の周期で凍結保存した受精卵を融解し移植を行います。
このように、移植に使用する受精卵を、
凍結しているかしていないかの違いで移植方法が変わります。
- 新鮮胚移植
~メリット~
①治療期間の短縮
採卵から移植までを同じ周期で行うため、治療期間が短くなります。
②受精卵への負担軽減
凍結によるダメージをなくすことができます。
③コスト
凍結・融解にかかる費用を抑えることができます。
~デメリット~
①子宮内膜の状態
卵巣刺激に使用した薬の影響で、
着床する時期にエストロゲン高値が続いていることや
子宮内膜が薄いといった移植に適さない状態になる可能性があります。
②卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスク
卵巣刺激の影響で、リスクが高まる場合があります。
※OHSSのリスクが高い場合に移植をキャンセルすることがあります。
③臨床成績
凍結融解胚移植と比べて、妊娠率が低い傾向にあります。
2.凍結融解胚移植
~メリット~
①卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の回避
採卵周期とは別の周期で移植のための調整を行うため、
OHSSのリスクを下げることができます。
②スケジュール調整
ホルモンを補充して子宮内膜を移植できるように調整する方法では、
移植するタイミングをある程度コントロールできるため、
希望日に移植できる可能性が高まります。
③臨床成績
新鮮胚移植と比べ、妊娠率が高い傾向にあります。
~デメリット~
①凍結・融解のダメージ
凍結・融解時に受精卵がダメージを受け、
移植ができない状態になることがあります。
②周産期合併症
癒着胎盤のリスクが高くなるという報告があります。
当院では
妊娠率、卵巣過剰刺激症候群やスケジュール調整の観点から
「凍結融解胚移植」を第1選択としています。
治療をすすめていく中で、
なかなか妊娠につながらない
培養成績が優れない
といった場合には、新鮮胚移植も
考慮していくこともあります。
新鮮胚移植・凍結融解胚移植
それぞれメリット・デメリットを考え
1人1人に最善な移植方法を選択することが重要です。
治療のことで
不安に感じることや疑問に思う事などございましたら
不妊症看護認定看護師による相談や
培養士による相談もできますので
ぜひ!ご利用ください!
今回はここまでになります。
次回もお楽しみに!