診療方針
Policy
診療方針
医療法人桂川レディースクリニックではタイミング指導などの一般不妊治療から、体外受精などの高度生殖医療まで広く行っています。また、反復体外受精不成功の着床障害検査・治療、抗リン脂質抗体症候群をはじめとした不育症治療、また卵管が詰まっている方に対して自然妊娠が可能となる卵管鏡下卵管形成術なども積極的に行っています。更に卵子・精子凍結保存も行っています。その結果、質の高い生殖医療により短期間で妊娠が可能となり、検査・治療中の痛みや不安なども軽減されます。
また生殖医療技術の多くの選択肢を整える一方で妊娠しやすい体質作りにも努めております。鍼灸などの代替補助治療、また心理・栄養・遺伝のカウンセリングを充実させ、妊娠率アップに向けて身体的精神的ケアを行っています。
医療法人桂川レディースクリニックは、日本生殖医学会の認定研修施設に指定されています。ならびに滋賀県特定不妊治療指定の医療機関です。不妊症、不育症(流産・死産を繰り返す)の治療・研究は私の医師としての34年に渡るライフワークであり、27年前には当時の厚生省の海外研究者として米国に国費留学をしておりました。 以来、アメリカの教授や研究者とは密に情報交換をしており、当院の不妊治療のレベルは、常に高い状態をキープしています。
皆様とクリニックスタッフの心が通うクリニックでありたいと思っております。不妊に関する専門の資格を持った医師をはじめとした多くのスタッフが皆様をお待ちしております。不妊治療を考えている方、流産を繰り返す方、赤ちゃんがほしいとお思いの方はセカンドオピニオンでも、相談でも構いませんので、気軽に受診ください。
不妊治療フローチャート
STEP1 初診・検査スケジュールなどのご提案
- 90%の方…原因判明、最適な治療を選択します。
- 10%の方…原因をつきとめるため精密検査を行います。
STEP2 治療方針の選択肢をご説明・ご提案
一般不妊治療
- タイミング療法
※3〜6回(月1回)
排卵誘発剤や内服、注射などで受精のタイミングを合わせる治療法。 - 人工授精
※3〜6回(月1回)
過排卵誘発治療などを行なった上で、人工的に受精を行う治療法。
高度不妊治療
- 体外受精・顕微授精
体外で卵子と精子を受精・培養し、体内に戻す治療法。
※関連するさまざまな医療技術があります。
・SEET法・二段階胚移植
・着床前遺伝診断
・タイムラプス
・ERPeak検査
・子宮内フローラ検査
・着床不全検査
その他
- FT(卵管鏡下卵管形成術)
卵管に原因がある場合の外科的治療法。
※術後6ヵ月で一般不妊治療に移行可能です。 - 男性不妊症の治療
男性起因の不妊治療。
※内服だけの治療から高度な治療まで幅広く行なっております。
場合により専門クリニックを紹介します。
不育症の治療
不育症(習慣流産)に対する内服や注射などを中心とした治療法。
各種カウンセリング
ドクター・不妊症看護認定看護師が行うカウンセリングのほか、遺伝に関するカウンセリングや心理カウンセリングも行なっております。
妊娠判定
当院でできること
一般不妊治療について
検査の3大要因「卵巣」「卵管」「精子」の機能検査が重要です。
- 「卵巣」の機能検査はホルモン検査、AMH検査のみならず、DHEA、ビタミンDなどの卵子の質を評価する検査も行います。卵子の質が低下している場合、サプリメントや抗酸化剤などを服用して頂きます。
- 「卵管」の通過障害を認める方には卵管鏡下卵管形成術(FT)治療や体外受精を行ないます。
- 「精子」も重要なポイントです。当院の熟練した胚培養士が精子の機能・受精能を徹底的に調べます。
主な排卵誘発法
- クロミフェン療法(クロミッド)
- アロマターゼ阻害剤(レトロゾール)
- rFSH低用量漸増療法
などを用います。
4個以上の卵胞が発育した場合、多胎妊娠のリスクを回避するため、タイミング療法、人工授精の治療を中止し、その周期に避妊を指示する場合もあります。
- タイミング療法
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超音波検査や基礎体温表などで排卵日を予測して、夫婦生活を行っていただきます。必要に応じて排卵誘発剤を使用する場合もあります。ご夫婦共に検査で異常を認めず、不妊治療歴がなく、比較的年齢の若いカップルにお勧めしています。
- 人工授精(IUI or ICI)
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人工授精とは調整した精子を子宮腔内に直接注入する方法です。注入後は精子と卵子は卵管内で自然な形で受精します。当院での人工授精1回あたりの妊娠率は8~10%です。人工授精で妊娠される方の87%は5回までに妊娠されています。4~5回行っても妊娠できない場合はステップアップ(体外受精)をお勧めします。
- 顕微授精・体外受精
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- 培養液
培養液は卵の成長を支える最も重要な因子です。当院では受精卵に優しく、良い発育成績の良い培養液を使用しています。 - 一般体外受精
精子本来の受精する力を利用する体外受精では、より良い精子の状態に調整する必要があります。当院ではWHOの基準よりさらに厳しい基準を設け、受精率を高めるシステムを構築しています。 - 顕微授精
当院では最新の機器を使用して熟練した胚培養士のみで顕微授精を行っています。受精率は概ね80%以上と毎年良好な成績を収めています。受精率の良くない卵子にはカルシウムイオノフォアという薬剤を用いて卵子を活性化させて良好な受精率を認めています。
- 培養液
- 手術療法
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不妊症に関連する子宮内膜ポリープ、子宮粘膜下筋腫に関して、子宮鏡下手術にて切除可能です。
- 経膣的腹腔鏡(THL:transvaginal hydrolaparoscopy)は経膣的アプローチによる低侵襲で新しい腹腔鏡で、主に不妊症に対して直視下に卵管や腹膜の病変を確認する事が可能です。
- 卵管周囲癒着などはTHLを施行して癒着を治療することも可能です。また、多能胞性卵巣症候群(PCOS)に対して卵巣多孔術(OD:ovarian drilling)も施行可能です。
- 卵管閉塞症及び卵管狭窄症に対しては卵管鏡下卵管形成術(FT)を日帰り手術で行うことが可能です。
その他の手術に関しては、提携の総合病院産婦人科で受けていただけます。
特殊な不妊治療の概要
- 着床前診断
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当院は日本産科婦人科学会認定の着床前診断実施施設です。
施設内の遺伝カウンセリングは京都大学附属病院遺伝子診療部の山田重人教授が担当いたします。
また、着床前診断の遺伝子解析は日本でも有数の実績のある藤田医科大学 総合医科学研究所 分子遺伝学研究部門と共同で行います。
日本産科婦人科学会より、令和2年 2 月 25 日付けにて着床前染色体異数性診断(PGT-A) 多施設共同臨床研究への参加が承認されました。
令和3年1月18日時点で滋賀県下に於いては当クリニックのみ承認されています。
PGT-A とは受精卵の染色体の数の異常がないかを調べる検査です。
採卵して得られた卵 子に体外受精(顕微授精)を行い採卵 5〜6 日目まで発育した胚盤胞の外側の細胞を 5〜6 個 採取し、PGT-A 解析施設に提出します。
検査施設では、この細胞から DNA を増殖させて、適 切な方法で染色体の数の異常を調べます。生検をした胚盤胞は一旦凍結保存します。
検査の 結果、移植可能と診断された胚を選び融解して子宮内に移植します。
PGT-A をおこない、染色体の数が正常な胚を子宮に戻すことができれば、染色体の数の異 常による流産を避けられると期待されています。 ご希望いただいても、必ずしも臨床研究に参加できるとは限りません。学会が提示した 条件に該当する方のみ臨床研究に参加可能です。 適応基準 1 反復不成功: 直近の胚移植で 2 回以上連続して臨床妊娠が成立していない。 2 習慣流産(反復流産):直近の妊娠で臨床的流産を 2 回以上反復し、流産時の臨床情報が 得られている。
3 染色体構造異常:夫婦いずれかが染色体構造異常(相互転座)を持つ。令和3年1月よりはライムラプスインキュベーターも導入稼働しており、より質の高い医療を提供させて頂いています。※ 参加を希望される方は、電話予約の上,一度受診していただき、医師にご相談くださ い。対象と判断されれば、遺伝カウンセリングを受けていただいた上,治療内容につ いての詳細を説明させていただきます。
- 男性不妊治療
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不妊症において男性因子の占める割合は、不妊原因全体の約50%にのぼると言われています。当院ではスクリーニング的な問診と精液検査を受けていただけます。精液所見が改善する漢方薬や抗酸化剤、またED薬も処方しています。さらに詳しい検査や治療が必要な場合は男性不妊専門クリニックを紹介させていただいております。
- 不育症・遺伝外来
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- 不育外来
流産や死産を繰り返し、生児を得られない不育症の方を対象としています。一般的に流産の原因は60%~70%は胎児の染色体の異常と言われています。残りの30%~40%の方は適切な検査・治療を受ければ流産を防ぐ可能性があります。当院では内分泌検査、子宮卵管造影検査、夫婦染色体検査、自己免疫関連検査、血液凝固検査、子宮内膜検査、ERPeak検査、子宮内フローラ検査などを行います。異常を認めれば、有効性の高い治療を行ないます。 - 遺伝外来
染色体異常や遺伝病を有する方を対象としています。染色体異常や遺伝病と診断された場合、染色体や遺伝子はそのものに対して治療は出来ませんが、わかる範囲内で情報提供をおこない、今後の治療方針を一緒に考えていきます。当院での遺伝カウンセリングは京都大学附属病院遺伝子診療部の山田重人教授が担当いたします。
- 不育外来
- クリニックで行われている特殊な不妊治療技術の紹介
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- 卵子質向上戦略
卵子の質を向上させるための戦略です。血液中のDHEAやビタミンDを測定し、不足している場合そのサプリメントや抗酸化剤を服用します。欧米の論文に改善の認められた症例が多数報告されています。当院でも効果を認めた方が少なからずいらっしゃいます。卵巣機能や年齢を考慮した排卵誘発剤の種類や量、方法などを個々にアレンジいたします。 - 着床向上戦略
形の良い胚を移植してもなかなか着床が出来ない方のための戦略です。子宮の血流が悪く、子宮内膜に十分な栄養、酸素の供給が行き届いていない。何らかの免疫因子が着床する胚の妨げになっている。胚を異物と勘違いして排除する体質かどうかの検査などをすべて血液検査で出来ます。子宮内膜が薄い方にはホルモンを加えたり、免疫因子が妨げになっている方は免疫療法を行ったりします。また、着床の窓(implantation window)がずれている方には事前に子宮内膜の遺伝子検査(ERPeak検査)を行って、移植のタイミングを調整して個別に移植を行います。
- 卵子質向上戦略
当院で行っている総合医療プログラムについて
- 総合医療:生殖心理カウンセリング、補助治療のご案内
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- 生殖心理(不妊看護)カウンセリング
治療のこと、ご自身のこと、ご家族のこと等どんなことでも安心してお話していただけます。患者様のお気持ちをよく聴き、ご一緒に考え、患者様が抱えておられる問題に対して、お手伝いをさせて頂きます。プライバシーの確保された環境で、守秘義務は厳守して行われます。 - 東洋医学
東洋医学の見地から、妊娠率を向上させるプログラムです。当院では船越鍼灸整骨院の船越登紀夫先生に毎週土曜日の午後より施術していただいております。鍼灸を併用する事でストレスの軽減が出来たり、実際に多くの方が妊娠に至りました。
- 生殖心理(不妊看護)カウンセリング
当院における臨床研究に関するオプトアウトについて
当院では、今後の患者様の治療や看護に活かすため、当院の患者様を対象とする臨床研究を実施しております。
研究成果を学会あるいは論文などにおいて公表する際は、当院の倫理審査委員会の承認を受けています。また、研究実施あたっては、対象となる患者様に口頭または文章で説明を行い、同意をいただいております。
国が定めた指針によると、研究内容によっては「必ずしも対象となる患者様お一人ずつから、臨床研究ごとに直接同意を得る必要はない」とされる一方、「研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を通知または公開し、さらに可能な限り拒否の機会を保障する事が必要」とされています。このような手法を「オプトアウト」といいます。
また、アンケートやカルテから統計上必要な情報の抽出などを行う場合もあります。
その際には、個人の特定が可能な氏名や生年月日などの情報は削除し、個人のプライバシー保護に細心の注意を払っております。
学会や論文で発表する際にも、個人を特定できる情報は開示いたしません。
研究についてのご質問や、研究の実施に同意されない場合には、下記の問い合わせ先までお申し出下さい。
なお、患者様が研究に同意されないとしても、診療などにおいて、患者様に不利益が生じることはありません。
<問い合わせ先>
医療法人桂川レディースクリニック
〒520-0834 滋賀県大津市御殿浜21-8
077-511-4135
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