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院長の不妊治療ブログ第26回 イスラム教の女性の衣装と「卵子の質を上げるビタミンD」 続編

スタッフブログ

皆さん、こんにちは
桂川 レディース クリニック院長
生殖医療専門医の桂川 浩 です。

ビタミンDは卵子の質に関係し、妊娠率や
生産率に影響するとの論文が発表されており、
ビタミンD低下症では妊娠率や生産率が
低くなることが報告されています。
 
「イスラム教徒の女性の衣装はビタミンD
欠乏症のリスク因子となりうるか?」
という論文がUAEのアブダビの医療機関
から2018年に報告(Journal of 
Ovarian Research)
されました。
 
確かに二カーブという民族衣装は目元しか
露出していないので、紫外線を浴びる量は
我々よりも極めて少ないと思われます。
興味深いですね。
 
結果は予想通り、ビタミンDの平均の
血中濃度は15.46ng/mlと低値を示し、
卵巣予備能を評価する胞状卵胞数(AFC)
と強い相関を示したそうです。
つまりビタミンD値が低いほど
胞状卵胞数が低いという結果でした。
 
桂川レディースクリニックでは、
卵子の状態の良くない方にビタミンDを
測定しています。
すると、ビタミンD値が19ng/mL以下に
低下している女性がかなりの率でした。
その方々には、ビタミンDの医療用
サプリメントを処方させていただき
治療を行っております。
内服前のビタミンD値平均が15 ng/mLの
患者様は、サプリメント内服後には
平均35ng/mL(24-55 ng/mL)と正常値に
回復していました。
ビタミンDサプリメント2,000IU/日を
とっていただくことで改善していくこと
がわかっています。
 
また、食事に関しては、魚類(イワシ、サンマ、
シラス干し、ブリ、小魚)やキノコ(きくらげ、
干しいたけ)などにビタミンDが豊富です。
さらに、紫外線を浴びることにより皮膚で
ビタミンDが合成されます。
 
今はまだ暑いので無理は禁物ですが、
両手の甲を約15分日光に当てるか、
木陰で約30分過ごすだけで十分です。
 
 
 
医療法人桂川レディースクリニック理事長/院長
桂川 浩
 
生殖医療専門医
産婦人科専門医・指導医
母体保護指定医
滋賀県産婦人科医会 副会長
京都大学博士(医学)