院長の不妊治療ブログ第21回 女性の肥満と不妊の関係5 肥満女性における体外受精の妊娠率は?
スタッフブログ
皆さん、こんにちは
桂川 レディース クリニック院長・生殖医療専門医の 桂川 浩 です。
肥満症に関しては世界中で増えている傾向があり、
オーストラリアでは、
1995年に肥満症の割合が5%、
2015年には60%と急激に上昇しているそうです。
肥満が健康に悪影響を及ぼすことは、
周知の事と思いますが、
急激に肥満率の上がったオールトラリアでは、
「女性の肥満と不妊症」についての興味ある論文が報告されました。
その中で、「肥満が不妊症に対してどのような悪影響を及ぼすか」
についての詳細な記述があり、
その内容を簡単に説明しますね。
肥満によって妊孕能(妊娠する能力)が低下し、不妊症の可能性が高まる。
その原因として、
- 間脳ー下垂体ー卵巣系の機能異常
- 卵子の質の低下
- 子宮内膜の受精卵受容能の低下
が考えられるそうです。
特にBMIの値が高いほど妊娠率が低下するそうです。
今回は最終回になりますが、
第5弾として「肥満女性における体外受精の妊娠率」についてお話します。
精子ドナーを用いた500人で解析したところ、
ウエストーヒップ比率が0.1ポイント上昇すると妊娠率が30%低下する。
BMIが35.0~39.9の肥満不妊女性患者が
体重を10%減量すると、妊娠率が77%、
生児獲得率が67%になった。
BMIが33で不妊期間が12ヶ月以上の患者で調査したところ、
10%以上減量すると88%の患者が妊娠に至り、
10%未満の減量では54%の患者が妊娠に至った。
生児獲得率に関しては、それぞれ77%と37%の結果で著しい差を認めた。
なるほどですね。
減量することは効果があるんですね。
当院では、管理栄養士による
「からだに優しいダイエットの栄養指導」を受けていただけます。