院長の不妊治療ブログ第18回 女性の肥満と不妊の関係3 胎児奇形に関する肥満の影響
スタッフブログ
皆さん、こんにちは
桂川 レディース クリニック院長
生殖医療専門医の 桂川 浩 です。
肥満症に関しては
世界中で増えている傾向があり、
オーストラリアでは、1995年に肥満症の割合が5%、
2015年には60%と急激に上昇しているそうです。
肥満が健康に悪影響を及ぼすことは、
周知の事と思いますが、
急激に肥満率の上がったオールトラリアでは、
「女性の肥満と不妊症」についての
興味ある論文が報告されました。
その中で、「肥満が不妊症に対してどのような悪影響を及ぼすか」についての
詳細な記述があり、その内容を簡単に説明しますね。
肥満によって妊孕能(妊娠する能力)が低下し、
不妊症の可能性が高まる。
その原因として、
- 間脳ー下垂体ー卵巣系の機能異常
- 卵子の質の低下
- 子宮内膜の受精卵受容能の低下
が考えられるそうです。
特にBMIの値が高いほど
妊娠率が低下するそうです。
今回は第3弾として「胎児奇形に関する肥満の影響」についてお話します。
外的な栄養状態と内的なホルモン状態によって
全ての胚成熟段階や胎児発達過程は
直接的に影響されます。
また肥満を認める場合、
新生児33人中1人に奇形を認めるそうです。
奇形を伴う肥満の単独のリスク因子については、
なんと33%に登ります。
妊娠前の母体の肥満と胎児奇形について、
具体的な頻度を下記に示します。
無脳児:1.39倍、二分脊椎:2.24倍、
心中隔欠損症:1.20倍、
ファロー四徴症:1.10倍、
大血管転位:1.41倍、
口唇口蓋裂:1.20倍、
横隔膜ヘルニア:1.28倍、
水頭症:1.68倍となっています。
「女性の肥満と不妊は密接に関連している。
それ故に、肥満患者に生活習慣を改善するように教育・指導することは
医師の義務である。」
とコメントしてありました。
なるほどですね。
当院では、管理栄養士による
「からだに優しいダイエットの栄養指導」
を受けていただけます。