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Ninkatsu Column

「こうのとり鍼灸」について

船越 登紀夫/船越鍼灸整骨院院長・鍼灸師・柔道整復師
船越 登紀夫/船越鍼灸整骨院院長・鍼灸師・柔道整復師

桂川レディースクリニック 「こうのとり鍼灸」担当鍼灸師 船越登紀夫です。

新年最初の妊活コラムは、
桂川レディースクリニックで行なっている
「こうのとり鍼灸」についてのご紹介です。

初めてこうのとり鍼灸に来られた方には、
「鍼」のイメージ と 「お灸」のイメージ をお聞きするのですが、
必ずと言って良いほど
「鍼」  →  痛そう…。    「お灸」  →  熱そう…。
という答えが返ってきます。(まぁ、無理もないですね…。)
なので、少しでも不安が無くなるように、
「鍼灸」について知っていただきたいと思います。

〇 鍼治療の「鍼」について

まずは、鍼灸治療で使う「鍼」と、
注射や点滴で使う「針」の違いから。

注射や点滴で使う注射針の太さは、
「ゲージ(G)」という単位で表します。

18G=外径1.250mm、22G=外径0.714mm、26G=外径0.455mmとなり、
ゲージの値が大きいほど注射針は細いということになります。

医療機関などで主に使用される注射針の太さは、
16G(外径1.6mm)~27G(外径0.4mm)です。
検査用の採血に用いるのは概ね21~22G程度、
輸血投与用の注射針は18~20G程度、
筋肉注射用は21~23Gを使用します。
インフルエンザワクチンなどの皮下注射は26G程度の細い針を使用します。

鍼灸治療で使う「鍼」の太さにも種類があって、
「番(ばん)」という単位で表します。

一般的によく使われるのは「0番~8番」というもので、
いちばん細いのが「0番」で0.14mm、
そこから一つ番数が上がるごとに0.02mmずつ太くなります。
いちばん太い8番鍼だと0.30mmになりますが、
それでも注射針よりも細いんです。
(「鍼は痛くないよ~」と言いたいがために、
注射針を悪者にしてる感じになってますね…、スミマセン。)

※ ちなみにですが、当こうのとり鍼灸では「0番」よりも細い「00番(0.012mm)」を使用しています。

日本人の髪の太さは細い人で0.05mm、太い人で0.15mm、
平均的な太さは約0.1mm程度と言われていますので、
鍼治療で使う「鍼」は髪の毛くらいの太さということを知ると
「痛そう」というイメージは少しは減るかな?と。

長さは寸(すん)や分(ぶ)の単位で表され、
1寸(30mm)、1寸3分(40mm)、
1寸6分(50mm)のものが日本ではよく使われています。
(中国鍼はもっと長いものもあります)

「鍼」の先端部の形も注射針とは違います。

注射針の先端は「刃物」のようになっていて、
皮膚や細胞を「切る」ようにして中に入っていきます。

「鍼」の先端は「丸く」なっているので、「押し分ける」ように中に入ります。

(鍼の先端拡大図 資料提供セイリン)

ですから皮膚や細胞を傷つけないので痛くないのです。

(また注射針を引き合いに出してしまいましたね…、スミマセン。)

鍼は皮膚から「経穴(けいけつ いわゆるツボ)」に刺入するのですが、
上記の鍼の長さのうち深くても1.5cm程度までですので、
当たり前ですが内臓まで達することはありません。
鍼を刺入する際に、多少チクッとすることもありますが、
痛みを感じる「痛点」に当たらなければ全くと言って良いほど何も感じません。

〇 鍼は痛い??

「経穴」は361個、左右対の経穴もありますので、
全身には約700個の経穴が存在しています。

患者さんの状態に合わせ、
その「経穴」に対して鍼で刺激していくのが鍼治療です。

「鍼は痛いですか?」と聞かれるのですが…

鍼の感覚はとても独特で、「ズ~~~ン」、「ド~~~ン」という重いような、
イタ気持ち良いような感じです。

その独特の感覚を我々鍼灸師は「得気(とっき)」と呼びます。

一般的には「悪いところ」に当たるとこの感覚が強く出ることが多いです。

ちょっと言葉では言い表せない感覚です。
おそらく、これまでに体験したことのない感覚と思います。

〇 こうのとり鍼灸の目的

「今よりも元気になっていただくこと」を目的のひとつに挙げています。
元気になることで、妊娠するための力を「底上げをする」というイメージです。

そもそも「元気」というのは東洋医学の考え方が語源で、
「万物生成の根本となる精気」、
つまり「生み出すエネルギー」のことを指します。

そして、「元気」という言葉を広辞苑で引くと、
「①精神や身体の健康が良好な状態。
②生命力・活力が旺盛であるさまや気分が上向きである等の状態。」とあります。

ですから、今よりも「元気」を増やして身体も心も健康になり、
授かる力を上げていきましょうということです。

もう一つの目的は、「未病を治す」ということ。

「未病(みびょう)」とは、東洋医学の考え方で
「病気とは言えないけれど、健康とも言えない状態」のことをいいます。
「目立った不調は無いけれど、元気じゃない。」
「検査をしても特に何もみつからないけれど、元気じゃない。」
…という方は「未病」の状態と言えるでしょう。
(…ということは、世の中全ての人が「未病」なのかもしれませんね。)

そういう「未病」の状態を、「私は元気です!」、
「私は健康です!」と言える状態に近づけることを目的のひとつとしています。

抽象的過ぎて分かりにくいかもしれませんので、
もう少し説明しておきますね。

例えば、「高血糖」と言われた人がいたとします。
血糖値が110mg/dL未満なら正常です。
110~126mg/dLは、糖尿病の可能性が疑われる境界値と言われます。
126mg/dL以上になると、糖尿病の可能性が高くなります。

高血糖の人が、血糖値を下げるお薬を飲んで、
正常値まで下がったとします。
数値上で「正常」になったから「健康」と言えるでしょうか?
例えば、「高血圧」と言われた人がいたとします。
最高血圧が140mmHg以上、あるいは、
最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。

高血圧の人は、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、
脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患のリスクを高くなりますし、
頭痛やめまい、肩こりや動悸、息切れ、
手足のむくみなどの身体症状がみられることがあります。

そういう「高血圧」の人が、降圧剤を飲んで血圧が正常値まで下がったとします。
数値上で「正常」になったから「健康」と言えるでしょうか?
数値上で「正常」になったけれど、頭痛やめまい、
肩こりが残っていても「健康」と言えるでしょうか?

東洋医学的には、上記2つの例のいずれも「未病」と考えます。
「高血糖」や「高血圧」になるにはそれなりの理由があったはずです。

その理由は、遺伝的な体質かもしれません。

運動不足かもしれません。
ストレスによる過食、肥満があったかもしれません。
ストレスによる自律神経やホルモンバランスの崩れかもしれません。

そういう「病気じゃないけれど健康じゃない=未病」の状態を、
出来るだけ「健康な状態」に近づけていくということを目指しています。

遺伝的に血圧が高くなりやすい、血糖が上がりやすい、という状態を改善する。
運動不足による代謝の悪い身体の血流を改善し、代謝、体温が上がるようにする。
ストレスによるメンタルの低下を改善させ、過食、肥満を抑える。
ストレスによる自律神経とホルモンバランスを整える。

言い方を変えると、「治療をしなくても良い状態に近づける」、
「お薬を飲まなくても元気な状態に近づける」ということになりますね。

そのためにはある意味、根本的な「体質改善」ということを目指しますので
時間がかかる場合もあります。

そういう面を考慮すると桂川レディースクリニックでは、
即効性が利点の「西洋医学的アプローチ」と
体質改善が利点の「東洋医学的アプローチ」を
合わせて受けられる理想的な環境と言えます。

来月は「お灸について」と「こうのとり鍼灸に来て欲しいのはどんな人か?」を
お話しする予定です。

もし、「待ってられない!」という方は、
早めに「こうのとり鍼灸」に相談しに来てみてくださいね。

〇 これまでの「こうのとり鍼灸コラム」は以下のリンクへ

 → こうのとり鍼灸コラム総集編

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【桂川レディースクリニック こうのとり鍼灸ルームのご案内】

当こうのとり鍼灸ルームでは、クリニック併設であることの強みを活かし、
各患者様の検査結果、体調や社会的背景、心理的状態などの情報をドクター、
看護師、培養士などクリニックスタッフと共有しつつ、
不妊治療の各ステージに合わせた不妊治療補助鍼灸を行っております。

【不妊治療補助鍼灸のすすめ方】

クリニックでの治療状況によって頻度、回数は変わりますが、タイミング、
人工授精、体外受精など各イベントに合わせて
鍼灸治療を受けていただくのが望ましいと考えています。

つまり、妊娠するために『各イベントに必要となる条件
(例えば、「体温を上げる」、「内膜を厚くする」、「排卵をスムーズにする」
「卵管を整える」、「精子を受け入れやすい状態にする(免疫寛容)」、
「着床を促す」など)』を、
各時期ごとに整えていくことを目的としています。

例えば、タイミングや人工授精の前の時期には
精子を受け入れやすい状態にするために、
その後は着床を促して安定させるために治療を施す、というパターンです。

【ストレスを感じているのであれば…】

どのステージでも妊娠するためには「
身体と心がストレスをため過ぎていない状態」が望ましいと言えます。

「ストレス」は、自律神経とホルモンバランスを崩す原因となり、
上記の『各イベントに必要となる条件』を阻害します。

もしも、身体や心の「ストレス」を感じているのであれば、
「こうのとり鍼灸ルーム」にご相談ください。

【こうのとり鍼灸ルーム】
開催日:毎週水・土曜日 14:00~19:00 
受付時間(14時・15時・16時・17時・18時)*施術時間は40分程度で
場所:当院4階 エステルーム
料金:不妊治療サポート(鍼灸治療、自律神経調整を含む) 7,000円(税込)
担当:船越鍼灸整骨院 船越 登紀夫
*ご予約は1回分ごとの受付になります