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妊活コラム

Ninkatsu Column

不妊治療を休むことの意味 〜焦らず、体と心を整える時間〜

船越 登紀夫/船越鍼灸整骨院院長・鍼灸師・柔道整復師
船越 登紀夫/船越鍼灸整骨院院長・鍼灸師・柔道整復師

「治療を休んでもいいのかな…」そんな不安を感じていませんか?

「また今回もダメだった」
 「これで何度目…」
 「このまま続けて、本当に妊娠できるんだろうか」

不妊治療を続けていると、そんな気持ちになることがあると思います。

そんな時には「少し休もうかな」と考えたりするのではないでしょうか。

でも、その直後に
 「休んでる間に年齢が上がってしまう」
 「休んだら、今までの努力が無駄になるんじゃないか」
 「周りはどんどん妊娠していくのに、私だけ取り残されるんじゃないか」
 という不安と焦る気持ちも出てきたり…。

そういう気持ちもよく分かります。

ですから今回のコラムでは、不妊治療を休むということについて、
西洋医学と東洋医学、両方の視点からお話ししようと思います。

そして、「休む」ということが、決して後退ではなく、
前に進むための大切なステップでもあるということを
分かっていただければと思います。

西洋医学から見た「治療を休む」意味

不妊治療、特に体外受精や顕微授精などの高度生殖医療は、
身体にも心にも大きな負担をかけることがあります。

例えば、排卵誘発剤を使用すると卵巣は普段よりもたくさん働くことになります。
これは例えるならば、マラソンを全力疾走で走り続けるような感じです。
一時的には成果が出せても、続けていると身体が疲弊してくることもあります。

具体的には、

  • 卵巣の腫れ
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 子宮内膜の機能低下
  • 免疫力の低下
  • 精神的なストレスの蓄積

特に「精神的な疲れ」が溜まってくると自律神経系にも
不調を来たすこともあります。

さらに精神的ストレスによって抗ストレスホルモン(コルチゾール)が
過剰に分泌されると、妊娠に必要なホルモンの分泌が
抑えられてしまうことも分かっています。

治療を一旦休むことで、身体は自分本来のリズムを取り戻そうとします。
この「リセット期間」が、次の治療の成功率を高めるための
休息期間になるわけです。

東洋医学から見た「休む」ことの意味

東洋医学では、身体を「気・血・水」のバランスで捉えます。

気(エネルギー)血(栄養)水(潤い)
この3つが全身をスムーズに巡ることで、健康が保たれると考えています。

不妊治療中の身体は「気血不足」の状態

不妊治療を続けていると、多くの方が「気血不足」の状態に陥ります。

これは、エネルギーと栄養が不足しがちということです。

具体的には、

  • 疲れやすい
  • 顔色が悪い
  • 髪や肌が乾燥する
  • 生理の量が少ない、経血が薄い
  • 手足が冷える
  • 眠りが浅い

…などの症状が出てきます。

気血が不足していると、
子宮や卵巣に十分な栄養とエネルギーが届かないんですね。

こうのとり鍼灸に来られる患者さんの脈を診させていただくと
「脈が細く弱い」という方がいます。
これは、気血不足のサインでもあります。

「休む」ことで「気血」を補う

東洋医学では、「休む」ことを「補うこと」と考えます。

補うとは、不足しているものを満たすこと。

治療を休んでいる間に、身体で失われた気血をまた満たしていけばよいのです。

そのために大切なのが、

  • 十分な睡眠
  • 栄養バランスの取れた食事
  • 適度な運動
  • ストレスを減らす工夫

全て当たり前のことですが、こうした養生(ようじょう)を続けることで、
身体は本来の力を取り戻していきます。

「陰陽のバランス」を整える

東洋医学では、すべてのものを「陰」と「陽」に分けて考えます。

  • 陽: 活動、興奮、熱、動くエネルギー
  • 陰: 休息、冷静、潤い、蓄えるエネルギー

不妊治療中は、体を「陽」の状態に向けることになります。

病院に通い、検査を受け、注射を打ち、結果を待つ。
常に緊張し、交感神経が優位になっている状態といえます。

けれど、妊娠するためには「陰」のエネルギーも必要です。

「陰」は悪いことでは無くて、静かに蓄え、育む力です。

種が芽を出すには、土の中で静かに根を張る時間が必要なように、
妊娠するためには、心と身体をいったん「陰」の状態に戻してあげることも
必要な時もあるのです。

つまり、治療を休むことはこの「陰陽のバランス」を取り戻すための時間
ということです。

「休む=後退」ではなく「休む=前進」

ここまで読んでいただいて分かるように、
治療を休むことは後退することではありません。

むしろ、次のステップに進むための準備期間なわけです。

マラソンランナーが途中で給水したり、ペースを落としたりするのは、
ゴールまで走り切るために必要なことです。それと同じです。

休むことのメリット

治療を休むことのメリットはたくさんあります。

1. 身体が本来のリズムを取り戻す

ホルモン剤の影響から離れることで、自然な生理周期が戻ってきます。
子宮内膜も厚くなり、卵巣も元気を取り戻せるでしょう。

2. 心の余裕が生まれる

「今回こそは!」というプレッシャーから解放されることで、心が軽くなります。
好きなことをする時間が増えて、ストレスから解放されてください。

3. 夫婦の関係が改善する

治療中は、どうしても「妊娠すること」が目的になってしまい、
夫婦の関係がぎくしゃくすることがあります。
休むことで、二人の時間を楽しむ余裕が生まれ、関係が深まります。

4. 自分を見つめ直す時間ができる

「なぜ妊娠したいのか」「どんな人生を送りたいのか」

そんなことを、ゆっくり考える時間が持てます。
この「立ち止まる時間」が、実はとても大切なことなんですね。

休む期間の過ごし方 〜心と身体を整える養生法〜

では、具体的に休む期間をどう過ごせばいいのか。

ここでは、効果的な養生法をお伝えします。

全て当たり前のことなのですが、
逆に「これまで出来ていたのか?」とご自身に問いかけてみてください。

1. 睡眠をしっかりとる

東洋医学では「夜は陰の時間」と考えます。

特に、夜11時から深夜3時は「気血が肝臓と胆に集まり、身体を修復する時間」です。

この時間にしっかり眠ることで、気血が補われます。

夜11時までに布団に入り、7〜8時間の睡眠をとるようにしましょう。

眠れない方は、

  • 寝る1時間前にスマホを見ない(←超重要!)
  • 温かいハーブティーを飲む
  • アロマオイルを使う
  • 腹式呼吸をする

など、体と心をリラックスに導く工夫をしてみてください。

2. 身体を温める(冷やさない)

妊娠しやすい身体を作るには、「温めること(冷やさないこと)」が基本です。

特に、下半身は温めることが大切です。

  • 毎日湯船に浸かる(38〜40度のぬるめのお湯に15〜20分)
  • 腹巻きや靴下を履く
  • 温かい飲み物を飲む(白湯、生姜湯、ほうじ茶など)
  • 足湯をする

冷えは「気血」の巡りを悪くします。
温めることで、子宮や卵巣にしっかりと栄養が届くようになるわけですね。

3. 食事で「気血」を補う

東洋医学では、「脾胃(消化器)が気血を作る」と考えます。

ですから、胃腸を大切にすることを再認識してください。

気血を補う食材

  • 赤身の肉(牛肉、豚肉、鶏肉)
  • 赤い食材(トマト、にんじん、クコの実、なつめ)
  • 黒い食材(黒豆、黒ごま、ひじき、きくらげ)
  • 根菜類(山芋、里芋、ごぼう、れんこん)
  • 卵、魚

そして、胃腸に優しい食べ方を意識しておきましょう。

  • よく噛む(←超重要!)
  • 温かいものを食べる
  • 腹八分目にする
  • 冷たいもの、生ものを控える

特別なメニューを作る必要はありません。
普通のご飯、味噌汁、焼き魚、煮物。
そういう「昭和の食卓」みたいな献立が、
実は一番身体に優しかったりします。

4. 適度な運動をする

身体を動かすことで、「気血」の巡りがよくなります。

ただし、激しい運動をする必要はありません。

「軽く汗ばむくらい」の運動でよいでしょう。

おすすめは、

  • ウォーキング(20〜30分)
  • ヨガ、ストレッチ
  • ラジオ体操

特に、骨盤周りを動かすことがポイントです。
股関節をほぐすストレッチや、骨盤回しなどを取り入れてみてください。

5. 心を緩める時間を作る

不妊治療中は、「妊娠しなきゃ」という思いで
頭がいっぱいになりがちになりますね。

休む期間は、意識的に「妊活を忘れる時間」を作ってください。

  • 好きな映画を見る
  • 友達とおしゃべりする
  • 趣味に没頭する
  • 旅行に行く
  • マッサージやエステに行く

まずは「自分を大切にする時間」を大切にしましょう。

6. 夫婦の時間を楽しむ

妊活中は、どうしても夫婦の関係が「妊娠のため」になってしまいがちです。

休む期間は、二人の関係を見つめ直す時間にしてください。

  • デートをする
  • 一緒に料理をする
  • ゆっくり話す時間を作る

パートナーとの関係が安定していると、心が安定します。
そして、心が安定すると、身体も整ってくるわけです。

「焦らなくていい」ということ

長々と書いてきましたが、
強くお伝えしたいのは「焦らなくていい」ということです。

「早く妊娠しなきゃ」
 「年齢が上がってしまう」
 「周りに置いていかれる」

そういう焦りに追い詰められていませんか?

けれど、妊娠は「急げば叶う」ものではありません。

むしろ、焦れば焦るほど、心と身体は緊張し、
妊娠から遠ざかっているのかもしれないのです。

ご自身のペースで大丈夫

人それぞれ、身体の状態も、心の状態も違います。

誰かと比べる必要はありません。

人それぞれに、適したペースがあります。

焦らずにご自身のペースを取り戻してください。

「休む」ことは「あきらめる」ことじゃない

何度もお伝えしますが、休むことはあきらめることではありません。

次に進むための、大切な準備期間です。

この期間にしっかりと心と身体を整えて、
次の治療がうまくいく可能性を高めていきましょう。

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「こうのとり鍼灸ルーム」では、おひとりおひとりの状態をみて、
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桂川レディースクリニック併設 こうのとり鍼灸はこのような方におススメです。

◇ 冷えが気になる
◇ 疲れが取れない
◇ 自律神経が乱れているかも?
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◇ ホルモンバランスが悪い
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もし、当てはまるものがあれば、こうのとり鍼灸に相談に来てください。
「健康」に近づけ、一緒に妊娠しやすい身体づくりをしていきましょう。

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開催日:毎週水・土曜日 14:00~19:00 
受付時間(14時・15時・16時・17時・18時)*施術時間は40分程度
場所:当院4階 エステルーム
料金:不妊治療サポート(鍼灸治療、自律神経調整を含む)   7,000円(税込)
担当:船越鍼灸整骨院 船越 登紀夫 

*ご予約は1回分ごとの受付になります
◇   船越鍼灸整骨院 → https://funa-in.com/