
妊活コラム
Ninkatsu Column
不妊治療中のストレスを軽減!

認知行動療法(CBT)を応用した日記で心を整える方法
桂川レディースクリニック 「こうのとり鍼灸」担当鍼灸師 船越登紀夫です。
不妊治療中は、身体的・精神的な負担が大きくなりがちです。
日常生活で感じる不安やストレス、落ち込みといった感情は、
誰しもが経験する自然な反応です。
しかし、こうしたネガティブな感情が積み重なると、
心の健康や治療へのモチベーションに影響を与えることもあります。
そこでおすすめしたいのが、認知行動療法(CBT)を活用した「日記記録」です。
今回のコラムでは、不妊治療中の患者さんが、ストレスを軽減し、
心のバランスを整えるために、認知行動療法の日記をどのように始め、
どのように活用すれば良いかをご紹介します。
認知行動療法(CBT)とは?
認知行動療法(CBT)は、ネガティブな思考や感情、行動のパターンを理解し、
より健康的な思考や対処法に変えていく心理療法です。
不妊治療中の患者さんにとって、以下のようなメリットがあります。
- ストレスの軽減: 治療の結果に対する不安やプレッシャーを自覚して整理し、
冷静に対処できるようになる。 - 自己理解の促進: 自分の感情や思考の「きっかけ」を特定することで、
感情のコントロールがしやすくなる。 - 前向きな行動を維持: 治療を続けるためのモチベーションを維持しやすくなる。
CBTの基本は、「思考」「感情」「行動」が互いに影響し合うという考え方です。
たとえば、「治療がうまくいかなかったらどうしよう」という思考(自動思考)が、
不安やストレス(感情)を引き起こし、治療を避けたくなる(行動)や
「またうまく行かないんじゃないか…」という
負の思考につながるといったパターンが生まれます。
CBTでは、これらのパターンを記録し、分析することで、
ネガティブなループを断ち切る方法をみつけやすくなると考えています。
不妊治療とCBTの相性
不妊治療は、ホルモン療法や通院の頻度、結果への期待と失望の繰り返しなど、
ストレス要因が多くなります。
不妊治療 メンタルケアとしてCBTを取り入れることで、
以下のような具体的な効果が期待できます:
- 感情の波を管理: 生理周期や治療結果に応じた思考と感情の変動を整理し、
コントロールしやすくなる。 - パートナーとのコミュニケーション改善: 自分の感情を理解することで、
パートナーに気持ちを伝えやすくなる。 - 治療への向き合い方の変化: 結果に一喜一憂するのではなく、
プロセスに焦点を当てて気持ちを整理しやすくなる。
負の思考、感情に陥る「きっかけ」
ヒトの思考や感情、行動が発生する時には必ずと言って良いほど
何らかの「きっかけ」があります。
例えば「窓の外を見た」とします。
すると「雨が降りそうなくらいの曇り空」が見えました。
すると、曇っているから「雨はイヤだなぁ」と思ったり、
「折りたたみ傘をカバンに入れておかなくちゃ」と考えたりします。
人によっては「雨だから出かけるのはやめよう」、
「私ってやっぱり雨女なのよね」、
「もしかしたら雷が鳴って、自分の頭に落ちてくるんじゃないか?」など、
考えることもあるかもしれません。
どのように考えるかは経験などによってある程度「パターン化」していて
「自動思考」と呼ばれます。
そのパターンによって自分を苦しめていたり、
日常生活に支障がある場合にはそのパターンを変えていくことが
認知行動療法の目的のひとつなのですが、
まず知っておく必要があるのは、「きっかけ」となる物事です。
この例では「窓の外を見た」というのが「きっかけ」です。
窓の外を見なければ、「雨はイヤだなぁ」とも
「折りたたみ傘をカバンに入れておかなくちゃ」とも考えなかったはずです。
(※ 不妊治療中には「ネット検索すること」が不安や落ち込みの
「きっかけ」になることが多いので
「あまりインターネットはしないでおきましょう」と言われる理由なんですね)
ですから、負の感情、負の思考に陥りやすい「きっかけ」を知っておくと
それを「出来るだけ避ける」または
「きっかけに気づいたら、気持ちを別の方向に向ける」などの
工夫がしやすくなるということです。
まずは「きっかけ」をみつけるようにしてみましょう。
日記、記録をしてみましょう
CBTの基本的なツールの一つが「日記記録」です。
日記を書くことで、自分の思考や感情の「きっかけ」を明確にし、
ストレスや不安の原因を整理できます。
不妊治療中の患者さんにとって、日記記録は以下の理由で特に有効です。
- 感情の可視化: 治療中に感じる複雑な感情を言葉にすることで、
頭の中を整理しやすくなります。 - パターンの発見: 特定の状況(例:インターネットで検索したあと、
病院の待合室、検査結果など)がストレスを引き起こす場合、
そのパターンを特定できます。 - 自己効力感の向上: 記録を続けることで、「自分で心を整えられる」
という自信が持てるようになります。
しかし、「日記を書くのが難しい」「何を記録すればいいかわからない」
と感じる方もいるかもしれません。
特に不妊治療中は、身体的・精神的な疲労が重なり、
複雑な感情を言葉にするのが負担になることもあります。
そこで、簡単で具体的な記録方法を取り入れるのがおすすめです。
不妊治療中の患者におすすめの日記記録の始め方
不妊治療中の患者さんが日記記録を始める際、
以下のステップで進めることで、
負担を最小限にし、効果を最大化できます。
ステップ1: シンプルな記録からスタート
「感情や思考を記録する」と言われると、難しく感じるかもしれません。
そこで、まずは身体的な感覚や具体的な状況に
焦点を当てた記録から始めましょう。
不妊治療中の方には、
以下のような質問をベースにした記録がおすすめです。
- どんな状況でストレスや不安を感じましたか?
(例:クリニックの待合室、ホルモン注射の後) - そのとき、身体はどんな反応をしていましたか?
(例:肩がこった、心臓がドキドキした) - その状況はどのくらい続きましたか?(例:数分、数時間)
たとえば、「クリニックの待合室で他の患者さんの話を聞いて不安になった」
「ホルモン注射後に頭痛がしてイライラした」
といった具体的な出来事を記録します。
このように、不妊治療 ストレス対処として、
身体的感覚や状況を記録することは、
感情や思考を直接書くよりも取り組みやすい第一歩です。
ステップ2: 記録を習慣化する
日記記録を続けるためには、習慣化が重要です。
以下のポイントを参考に、無理なく続けられる方法を見つけましょう
- 短時間でOK: 1日5~10分程度、簡単なメモで十分です。
- タイミングを決める: たとえば、夜寝る前や通院後のカフェでのひとときなど、決まった時間に記録する。
- ツールを選ぶ: ノート、スマホのメモアプリ、専用の日記アプリなど、
自分が使いやすいものを選ぶ。
最初は「完璧に書かなければ」とプレッシャーを感じる必要はありません。
1日1~2行のメモで構いません。
続けていくうちに気持ちにゆとりが生まれてきます。
ステップ3: 感情や思考を少しずつ加える
身体的感覚や状況の記録に慣れてきたら、以下の質問を追加して、
感情や思考を探ってみましょう:
- その状況でどんな気持ちになりましたか?
(例:不安、悲しみ、苛立ち) - そのとき、頭にどんな考えが浮かびましたか?
(例:「また失敗したらどうしよう」「私はダメな人間だ」)
たとえば、「ホルモン注射後に頭痛がしてイライラした」という記録に、
「そのとき、『なぜ自分だけこんな目に遭うのか』と思った」
と付け加えるという感じです。
このように、認知行動療法 日記を通じて、
身体的感覚と感情・思考のつながりが見えることで、
ストレスや不安の「きっかけ」を明確にできます。
不妊治療中の患者向け: 日記記録の具体例
以下は、不妊治療中の患者さんが実際に記録する際の例です。
このフォーマットを参考に、自分に合ったスタイルで始めてみてください。
記録フォーマットの例
日付/時間 | 状況(何が起こった?) | 身体的反応(どう感じた?) | 感情(どんな気分?) | 思考(何を考えた?) |
2025/4/27 10:00 | クリニックの待合室で長時間待った | 肩がこった、心臓がドキドキした | 不安、苛立ち | 「また結果が悪かったらどうしよう」 |
2025/4/27 18:00 | ホルモン注射後、疲れがひどい | 頭痛、だるさ | 落ち込み | 「私の体は弱いのかもしれない」 |
このように、状況、身体的反応、感情、思考を分けて書くことで、
自分の心の動きを整理しやすくなります。
最初は「感情」や「思考」の欄を空欄にしてもOKです。
少しずつ埋めていくことで、自然に自分のパターンが見えてきます。
日記記録を続けるためのコツ
不妊治療中は、忙しさや感情の波で
日記を続けるのが難しい日もあるかもしれません。
以下のコツを参考に、無理なく続けましょう:
- 小さな成功を認める: 1日1行でも書けたら、「今日もできた!」
と自分を褒めましょう。 - 柔軟にアレンジ: 忙しい日は箇条書き、時間がある日は詳しく書くなど、
自分のペースに合わせる。 - ポジティブな記録も加える: ストレスだけでなく、
「今日はパートナーと楽しく話せた」「治療後に好きなカフェでリラックスできた」といったポジティブな出来事も記録すると、バランスが取れます。
日記記録がもたらす効果: 不妊治療を支える心の力
日記記録を続けることで、
不妊治療中の患者さんに以下のような変化が期待できます。
- ストレスの軽減: 感情や思考を整理することで、治療のプレッシャーが和らぐ。
- 自己理解の深化: 自分のストレスや不安の「引き金」を知ることで、
対処法を見つけやすくなる。 - 治療への主体性: 記録を通じて、「自分で心を整えられる」という自信が育ち、
治療への向き合い方が変わる。
実際、研究でも、CBTを活用した日記記録がストレス関連の症状を軽減し、
メンタルヘルスを改善することが示されています。
不妊治療中の患者さんにとって、
不妊治療 メンタルケアの一環として日記記録を取り入れることは、
心の健康を支える強力なツールとなるでしょう。
まとめ: 不妊治療を支える日記記録を始めよう
不妊治療は、身体的・精神的な挑戦の連続です。
しかし、日記記録を取り入れることで、ストレスを整理し、
心のバランスを整えやすくなるでしょう。
まずは、簡単な日記記録から「負のサイクルに陥りやすくなるきっかけ」を
見つけることからはじめてみましょう。
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桂川レディースクリニック併設 こうのとり鍼灸はこのような方におススメです。
◇ 冷えが気になる
◇ 疲れが取れない
◇ 自律神経が乱れているかも?
◇ 運動不足で代謝が悪い
◇ ホルモンバランスが悪い
◇ ストレスが溜まっている
もし、当てはまるものがあれば、こうのとり鍼灸に相談に来てくださいね。
「健康」に近づけ、一緒に妊娠しやすい身体づくりをしていきましょう。
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【こうのとり鍼灸ルーム】
開催日:毎週水・土曜日 14:00~19:00
受付時間(14時・15時・16時・17時・18時)*施術時間は40分程度
場所:当院4階 エステルーム
料金:不妊治療サポート(鍼灸治療、自律神経調整を含む) 7,000円(税込)
担当:船越鍼灸整骨院 船越 登紀夫
*ご予約は1回分ごとの受付になります
◇ 船越鍼灸整骨院 → https://funa-in.com/