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Ninkatsu Column

日本受精着床学会総会・学術講演会に参加してきました!

塩見 朋也/胚培養士
塩見 朋也/胚培養士

こんにちは!培養部です。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
少しずつ気温も落ち着いてきて過ごしやすくなってきましたね!

さて、先月の22,23日に日本受精着床学会 総会・学術講演会が開催され、
参加してきました。
今回は大阪国際会議場での開催でした。

今回の学会のテーマは『ARTの発展と社会の調和』で、
AIとカルテを組み合わせることで最も効果的な治療方針を
導き出せる研究の話やそれぞれの施設での成績の共有など、
たくさんの演題がありました。

その中で『前核期透明帯除去術』の発表がありました。
どういった方法かご説明しますね!
本来であれば受精卵は透明帯という殻の中で育っていくものですが、
この方法は受精を確認した後に透明帯を取り除きます。

なぜ透明帯を取り除くのか疑問に思いますよね。
下の画像をご覧ください。

こちらの画像は透明帯との癒着がある受精卵の培養画像になります。
透明帯との癒着がある箇所から
青文字で示したフラグメントと呼ばれる小さな粒々が
発生していることが分かります。
フラグメントが発生する要因のひとつに癒着が関係しており、
このフラグメントが多数あることによって胚盤胞まで育ちにくくなります。
一番右の画像では、胞胚腔が形成され大きくなろうと
頑張っていますが周囲のフラグメントにより、
これ以上大きくなることが困難です。

胚盤胞まで育たない胚が、
『前核期透明帯除去術』を行うことで胚盤胞まで育ち、
なかなか胚盤胞まで育たなかった患者様が
胚盤胞での凍結が出来たという発表でした。

透明帯を取り除いて問題ないのか気になると思いますが、
透明帯の役割は多精子受精の防止や衝撃の緩和などであり、
体外で培養する場合は必須ではないので取り除いても問題ないということです。

次に下の画像をご覧ください。

こちらは当院での透明帯のない受精卵の培養画像になります。 
透明帯はなくても、分割胚はバラバラになることはなく、
胚盤胞まで発育しています。

当院においても、フラグメント多数により
胚盤胞に育ちにくい患者様もいらっしゃるので、
よりよい治療を提供できるようこの方法を検討していきたいと思います!

今回はここまで!
最後までご覧いただきありがとうございました。
次回もお楽しみに~!👋