
妊活コラム
Ninkatsu Column
融解の実際!

こんにちは!培養部です。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
2024年11月の妊活コラムの
『凍結の実際!』で卵子や受精卵の凍結手順についてお話ししました。
今回は凍結保存を行った受精卵を
どのように移植できる状態に戻しているのかをお話していきますね。
凍結保存した受精卵を移植できる状態までに戻すことを
「融解(ゆうかい)」
といいます。冷凍庫に入れた食品を食べられる状態に戻すことを解凍といいますが
受精卵ではこの言葉は使いません。
当院では、下の図のキットを使用し、融解をしています。
キットには、左から「融解液」「希釈液」「洗浄液」が充填されています。

融解液:
液体窒素内で保管していた受精卵を
温めておいた融解液に浸すことで一気に加温し、
受精卵へのダメージを最小限に抑えます。
希釈液・洗浄液:
凍結保護剤を段階的に受精卵から排出させる役割があります。
それでは実際の手順についてご説明します。

①凍結凍結タンクから凍結用容器を取り出す
※凍結タンクから取り出す際は、2人でダブルチェックを行います。
②温めた融解液に凍結用容器を浸す
③異なる溶液(希釈液、洗浄液)へ順番に移す ④移植用のディッシュに移し、移植までインキュベーターで保管する
融解時の操作で大事なことは
1. 凍結されている受精卵を一気に加温すること
2. 凍結保護剤を徐々に排出すること
3. 取り違いがないようにダブルチェックすること
4. 各々の溶液に移動する際に受精卵を紛失しないよう慎重に作業すること
以上の4点です。
これらのことをしっかりと理解し管理を行い、
受精卵へのダメージを極力抑える努力をしています。
次に融解後の受精卵について説明します。
融解直後の受精卵は収縮した状態となっています(下図①)。
その後、インキュベーターで保管しているうちに
徐々に凍結前の大きさに回復します(下図②)。
凍結された受精卵は-196℃の液体窒素で保管しており、
細胞活動が停止した状態です。
融解し回復することで、細胞活動が再開し、成長を再開します(下図➂)。

凍結融解の技術は、
実施している我々培養士でも不思議で驚かされます。
これらの技術の発展が不妊治療を支え、
患者様により良い治療環境を
提供できてきているものと実感しています。
今回はここまでになります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
それでは次回もお楽しみに~☺