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妊活コラム

Ninkatsu Column

妊活のスタートライン 夫婦の気持ちのずれ

酒井まゆみ/不妊症看護認定看護師
酒井まゆみ/不妊症看護認定看護師

「妊活のスタートライン。パートナーとの気持ちのずれや、
私の焦りから、気持ちがとてもつらくなってしまいました。」

当院で不妊治療後、卒業された方のアンケートの中からの声です。

妊活を始めるとき、多くのご夫婦がこんな会話をされます。

「子どもが欲しいけど、なかなかできないね。」
「病院へ行ってみようか。」

一見、同じ方向を向いているように見える言葉です。

けれど、その言葉の中にある“気持ち”は、必ずしも同じとは限りません。

年齢のことも気になり、「できることは早く進めたい」と感じる方。

一方で、「そのうちできるよ」「様子をみながら進もう」と受け止めている方。

「できる治療はどんどん進めたい」と思っている人と、
「まずは検査くらいから」という気持ちの人。

同じ言葉を交わしていても、その奥にある温度や覚悟には、
少しずつ差があることも少なくありません。

そしてその差が、「どうして分かってくれないの?」という思いにつながり、
気持ちを苦しくしてしまうことがあります。

妊活は、妊娠を目指すことだけでなく、
気持ちの歩幅をそろえていく過程でもあります。

ただ、その歩幅は、最初からぴったり合っている必要はありません。

むしろ、「違っていて当たり前」と知っておくことが、
関係をやわらかく保つことにつながることもあります。

大切なのは、どちらかが無理に相手に合わせることではなく、

「自分はどう感じているのか」

「何を大切にしたいと思っているのか」

それを少しずつ言葉にしていくこと。

そして同時に、相手の感じ方にも耳を傾けていくことです。

夫婦は、もともと違う人生を歩んできた二人です。

いつも同じ気持ちでいられるわけではありません。

それでも、「わかりあえないことがある」と知りながら、
それでも「わかりあいたい」と思い続けること。

その積み重ねが、少しずつ夫婦の形をつくっていくのだと思います。

これからの人生の中では、妊活だけでなく、子育てや仕事、
家族のことなど、さまざまな出来事が起こります。

そのたびに、気持ちの違いに戸惑うこともあるかもしれません。

けれど、最初から同じ気持ちでいられる夫婦よりも、
違いを感じながらも向き合い、乗り越えてきた夫婦の方が、
これから先の出来事にも、
しなやかに向き合っていけるのではないでしょうか。

妊活のスタートラインは、夫婦で同じとは限りません。

スピードも、感じ方も、それぞれ違っていて自然なものです。

それぞれの場所からでも、少しずつ歩み寄りながら進んでいくこと。

その積み重ねが、結果だけでなく、
これからの夫婦の形をつくっていくのかもしれません。

もし、気持ちのずれや不安を感じておられる方がいらっしゃいましたら、
どうかひとりで抱え込まずにご相談ください。

治療のことだけでなく、お気持ちの整理も含めて、
一緒に考えていけたらと思っています。