院長の不妊治療ブログ第16回 女性の肥満と不妊の関係1 「肥満」は妊活の大敵!
スタッフブログ
皆さん、こんにちは
桂川 レディース クリニック院長
生殖医療専門医の 桂川 浩 です。
肥満症に関しては世界中で増えている傾向があり、
オーストラリアでは、
1995年に肥満症の割合が5%、
2015年には60%と急激に上昇しているそうです。
肥満が健康に悪影響を及ぼすことは、
周知の事と思いますが、
急激に肥満率の上がったオールトラリアでは、
「女性の肥満と不妊症」についての
興味ある論文が報告されました。
その中で、「肥満が不妊症に対してどのような悪影響を及ぼすか」
についての詳細な記述があり、その内容を簡単に説明しますね。
肥満によって妊孕能(妊娠する能力)が低下し、
不妊症の可能性が高まる。
その原因として、
- 間脳ー下垂体ー卵巣系の機能異常
- 卵子の質の低下
- 子宮内膜の受精卵受容能の低下
が考えられるそうです。
特にBMIの値が高いほど妊娠率が低下するそうです。
「妊孕能(妊娠する能力)における肥満の内分泌的影響」
についてお話しすると、
肥満は性ホルモンの分泌と代謝に影響を及ぼし、
エストロゲンとアンドロゲンの
生物学的利用能を変化させます。
また肝臓で性ホルモン結合グロブリン(SHBG)が低下し、
その結果エストロゲンとテストステロンの血中濃度が上昇します。
さらに高インシュリン血症によって(SHBG)が低下し、
卵巣でのアンドロゲン産生が高まります。
LHの分泌過剰とアンドロゲン/エストロゲン比が上昇する事により
内分泌環境変化が起こり、その結果卵胞形成に悪影響を及ぼします。
当院では、管理栄養士による
「からだに優しいダイエットの栄養指導」を行なっています。
不妊治療説明会の時に、詳しくお聴きいただけますが、
兎にも角にも肥満傾向のある方は、
体重コントロールをお願いします。