妊活コラム
Ninkatsu Column
不安や抑うつ気分を回復したいときに
赤ちゃんが欲しいと思っているのに、
なかなか授からない…
だんだん不安が大きくなってきたり、
年齢のこと、周りの状況で、焦る気持ちが強くなってくる。
生理が来ると落ち込み、
それが毎月繰り返されることで、
抑うつ気分になってくることもあります。
そんな気持ちを前向きにと頑張っても、
やっぱり落ち込むこともあるので、
気持ちは大きな波を繰り返すこともあります。
不妊という体験は
成長していく過程でおこる発達的危機という側面と、
失業や離別、災害のように偶発的におこる状況的危機という側面があります。
危機とは、
「人が大切な目標に向かうときに障害に直面し習慣的な問題解決方法を用いても
克服できない時に生じる状態」(キャプラン)のことです。
危機は成長する好機にも、
より困難な状況になる脅威にもなります。
この分岐点で危機を回避するモデルとして、
「アギュララとメズイックの問題解決型危機モデル」があります。
アギュララとメズイックの危機モデルとは
ストレスが多い出来事が起こったとき、
不安や抑うつといった不均衡状態を表します。
そして、元の均衡状態へ回復したいという欲求がでてきます。
このとき、3つのバランス保持要因
・出来事に対する現実的な知覚
・適切な社会的支持
・適切な対処規制
があると、元の均衡状態へ回復し、
欠如すると不均衡状態が持続し危機に陥るというものです。
3つのバランス保持要因について。
①出来事に対する現実的な知覚
☑ストレスの多い出来事を知覚しているか
☑今の状況、今後の見通しについて理解しているか
ゆがんだ知覚をしていると、問題解決が困難になり危機に陥ります。
不妊の特徴として、不確かさやあいまいさがあり、
過度の期待や悲観をもちやすいです。
不確かさやあいまいさも含めて現実的に知覚する、
きちんとわかるということが大切です。
以外にわかっているようで、わかっていないということもよくあります。
②【適切な社会的支持】
☑相談できる人がいるか
☑支えてくれる人がいるか
社会的支持がないと、孤立し均衡回復に向けたサポートを得ることができず
危機に陥ります。
クリニックのスタッフ全員で支えたいと思っていますので、
いつでも相談してください。
③【適切な対処機制】
☑コーピング(ストレスを対処するための行動)しているか
対処機制が不十分・不適切であると
不均衡状態が持続し危機に陥ります。
ここで、コーピングと似ていて違うものに、
適応機制(防衛機制)というのがあります。
これは、辛い環境やストレスから精神を守るために
本能的に働く心の防衛反応です。
よくお話をお聞きするのは、感情の否認です。
長期にわたって悲しみやつらさが続くと、
自分がつらく悲しい感情を抱いていることを
否認・無視することがあります。
気持ちに蓋をして奥底にしまってしまうと、
一時的には安心するかもしれませんが、
辛くて悲しくても自分の気持ち、
それも含めての自分のことを大切にしてあげてほしいなと思います。
不安や抑うつといった不均衡状態になっているかなと感じるときには、
この3つの要因について考えてみるのもいいかもしれません。