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妊活コラム

Ninkatsu Column

ストレスと不妊

上田 聡代/不妊症看護認定看護師
上田 聡代/不妊症看護認定看護師

現代はストレス社会だといわれます。
その上、1年半以上続く新型コロナウィルスのための不自由な日常は、
さらにストレスを蓄積させています。

さて、こうして「ストレスがたまる」など、
‟ストレス“という言葉は日常語となっています。
でも、ストレスって何なのでしょうか?今回は、ストレスとは何か、
そしてストレスと不妊の関係について書いてみたいと思います。

ストレスとは何か?

「ストレス」と言う言葉は、元来機械工学の用語で、
「物体のゆがんだ状態」を指しています。
例えば、ボールをギュッと握り、
ボールの形が歪んだ状態を考えてみてください。
本来は、手でかけた外圧のことを「ストレッサー」
力によってボールが歪んだ状態のことを「ストレス」と呼び、区別していました。
この概念はハンス・セリエという人が考え、医学の世界に持ち込みました。
つまり原因になるものが「ストレッサー」で、
それにより歪んだ状態を「ストレス」と呼んでいます。

私たちはストレスというと悪いものと思いがちですが、
人を向上させたり、意欲的にさせるようなストレスもあるのです。
また、ストレスが適度にかかっている人の方が
人は生産的な活動ができるようです。

ストレスで不妊になるのか?
それとも不妊によってストレスが起こるのか?

不妊はストレスのかかる経験ですが、
不妊がストレスによって引き起こされることはないようですが・・・
稀に、女性が強いストレスによってホルモンレベルが変化し、
排卵が不規則になることがあります。
また、強いストレスで女性の卵管痙縮や
男性の精子造成の減少を引き起こす可能性があるという研究もあります。

不妊治療中の女性が感じるストレスは、
癌や心臓病のような生命にかかわるような病気の人と同程度、
あるいはそれ以上の水準を示すともいわれています。
不妊の夫婦は毎月、子どもをきっと授かるという期待と
だめだったという失望を繰り返し、慢性的なストレスを感じるのです。

なぜ不妊がストレスとなるのか?

不妊は大きな人生上の危機となります。
その診断によって、それまで当たり前のように考えていた「親になる」
という目標が脅かされるからです。
自分の人生が計画通りにいかないという経験なのです。
また不妊の検査や治療は、身体的、精神的、経済的な負担を与え、
ストレスとなるのです。