妊活コラム
Ninkatsu Column
不妊治療と「整体」、「骨盤矯正」
こんにちは! こうのとり鍼灸担当鍼灸師 船越登紀夫です。
今回は鍼灸の話ではありませんが、
よく患者さんから質問を受ける「整体」、「骨盤矯正」について、
私見も交えてご紹介します。
~~色々な「不妊補助治療」~~
不妊治療をされている方は、メインとなる治療だけでなく、
色々なことを試されていることも多いようです。
こうのとり鍼灸に来られる患者さんにお聞きすると、
「鍼灸」や「漢方」、「サプリメント」や「ヨガ」など、
色々なものを試されている方が多いように思います。
ネットでも、「整体」とか「骨盤矯正」というのもよく見かけます。
果たして、本当に効果があるのでしょうか?
色々と調べてみましたが、残念ながら「整体」や「骨盤矯正」が
不妊に効果があるというエピデンスは少ないようです。
しかし、いくつかの事実を組み合わせて考えてみると、
骨盤や骨格の歪みが内臓の機能低下を引き起こし、
不妊の原因となっている可能性が出てきます。
~~「肩こり」や「腰痛」と「歪み」~~
骨格の歪みや筋肉のバランスの崩れが原因となっているものの代表例ですね。
頚椎や腰椎、骨盤などが歪めば、
そこに付着している筋肉の硬さが増し、
「肩こり」や「腰痛」などの症状が出てくることは考えられます。
これは「骨格が筋肉に影響を与える例」ですね。
~椎骨動脈~
頚椎の中を通る「椎骨動脈」は脳へ血液を送る血管です。
「関節リウマチ(関節が徐々に変形していく病気です)」という病気では
環椎(第1頚椎)が亜脱臼することがあり、
そのため「椎骨動脈」が損傷を受けたり、
位置がずれることによって血管が圧迫され、
脳血流が悪くなって「めまい」や「嘔吐」を起こすことが知られています。
第1頚椎(上の図ではC1と書いてます)は回旋の動き(捻じる)が大きい所で、
首を捻る動作や姿勢では「椎骨動脈」は伸張されます。
単発の動作であればそれほど問題は起こらないのですが、
「うつ伏せで寝る」などの悪習慣があると「椎骨動脈」が常に伸張され、
脳血流が悪くなり「めまい」や「自律神経失調症」などが起こると言われています。
これは「骨格が血管血流」に影響を及ぼす例です。
~~脊柱側弯症~~
脊柱を身体の前後方向軸で見た場合に、
左右に曲がっている状態を「脊柱側弯症」といいます。
「左右の肩の高さの違い」、「首(頭)が傾いている」、
「骨盤が傾いている」などが見た目で観察されることがありますが、
実際には脊柱が捻じれているため、
「肋骨の形状」にも変化がみられるようになります。
肋骨は呼吸運動に関わりますので、
肋骨の歪みが大きくなり過ぎると息を吸ったり吐いたりするのがしんどくなったり、重症になると肺に水が貯まる「胸水症」がみられたり、
「無気肺」といって肺が膨らまなくなってしまうこともあります。
これも「骨格が内臓や血管、神経に影響を与える」という例です。
~~骨盤は「容器」~~
さて、話を「不妊」に戻しましょう。
卵巣や子宮など、妊娠に関わる臓器は「骨盤の中」にあります。
つまり、骨盤は臓器を入れている「容器」なワケです。
容器の形が正常であれば、その中に納まっている臓器も血管も神経も、
正常な場所に位置するはずです。
逆に言えば、容器の形が歪んでいれば(つまり骨盤が歪んでいれば)、
その中に納まっている臓器も血管も神経も、
歪んだ状態で位置することになります。
つまり骨盤の中で臓器や血管や神経が、
ある場所は圧迫されたり、ある場所は捻じられたり、
ある場所は引っ張られたりという状態になるワケですね。
そのような状態になれば、
臓器への血流が悪くなり酸素や栄養がうまく供給されなくなるでしょうし、
そのような状態が長く続けば臓器の機能低下を起こし、
不妊の原因となる可能性が高くなるかもしれません。
…というのが、「不妊症以外でみられる骨格の歪みから起こる症状」の例と、
そこから考察される「骨格、骨盤の歪みと不妊症」の考え方の一つです。
全ての人にこれが当てはまるとは言えないと思いますが、
「こうのとり鍼灸」では骨格の歪み、
骨盤の歪みが不妊に影響を与えているかも?と考えられる方には、
それを整えるための治療も行っております。
もしも「肩こり」や「腰痛」などの症状があり、
「お腹に位置する臓器」にまつわる症状がある(例えば、胃の痛みや便秘、生理痛、月経不順など)などに当てはまる方は、一度ご相談ください。