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妊活コラム

Ninkatsu Column

妊活と腸活 その② 

船越 登紀夫/船越鍼灸整骨院院長・鍼灸師・柔道整復師
船越 登紀夫/船越鍼灸整骨院院長・鍼灸師・柔道整復師

桂川レディースクリニック こうのとり鍼灸担当の船越です。

「妊活と腸活シリーズ」の第2回目です。

【前回のまとめ】

  • ヒトの腸内には、約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息している。
  • 腸内細菌には、身体に対して有益な善玉菌、害をなす悪玉菌、日和見菌がある。
  • 日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のうち優勢な側に味方するので、
    善玉菌の数を増やすことが重要。
  • 悪玉菌が増えると免疫が過度に働くようになり、
    着床や妊娠の維持を阻害する可能性がある。
  • 代表的な善玉菌には、ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌などがあり、
    これらを増やすには発酵食品や食物繊維を食事に摂り入れるようにする。

今回は「腸内細菌と自律神経」です。

自律神経のバランスを整えることは
ホルモンバランスを整えることと並んで妊活には欠かせないものです。
自律神経を整えることは、卵巣や子宮への血流を調節し、
身体を妊娠しやすい状態へ導いてくれるはずです。

ヒトの大脳には数多くの神経細胞がありますが、
腸にも脳に次いで多くの神経細胞が存在しています。

その神経細胞の働きにより、
腸は脳からの指令を受けずに単独で「消化」、「吸収」を行うことができます。

しかしながら、脳と腸は全くつながりが無いわけではなく、
「緊張した時にはおなかが痛くなる」とか
「旅行に行ったりして環境が変わると便秘になる」など、
脳の活動やメンタルの状態は胃腸へ影響を与えます。

これらのメカニズムは明確にされていなかったのですが、
近年様々な研究結果により「腸は第二の脳」と言われれるほど、
生命活動の維持に重要な器官であることがわかってきました。

【脳と腸をつなぐ「迷走神経」】

腸の状態を脳へ伝えるのは「迷走神経」という神経です。
この神経の90%が腸から脳へ情報を伝えていると言われています。
しかしこれらの情報を脳はほとんど意識することはありません。

消化管の中に内容物が少なくなればその情報は脳へ送られ、
「摂食中枢」を刺激して食べる欲求を発生させます。
消化管の中へ有害な物が入っていればその情報を脳へ送り、
免疫系を活発にするメカニズムを機能させます。
これらは無意識下でコントロールされています。

もしも、腸内環境が悪くなっていればその情報は常に脳へ送られ、
免疫系を活発にするために使う脳のリソースを
正常よりも使ってしまうことになります。
つまり「脳のゆとり」が無くなってしまうということです。

「脳のゆとり」が無くなれば、ストレスに対しても過敏になるでしょうし、
ちょっとしたことでも気になってしまったり、ビクビク、オドオドして
心が落ち着かなくなってしまうでしょう。

【セロトニンと腸の関係】

セロトニンは活発になり過ぎた脳の神経活動を抑制する物質です。
脳がストレスにさらされるとノルアドレナリンという物質が出て、
神経活動が活発になって筋肉を緊張させたり、心拍数を増やしたり、
血圧を上げたりして身体をストレスに対抗できる状態にします。
(いわゆる「交感神経優位」の状態です)

その状態にリセットをかけてバランスを取る働きを持つのがセロトニンなのです。

セロトニンが少なくなると上記のような「交感神経優位」の状態が
リセットできなくなってしまいますので、
気分が安定しづらくなったり、イライラが続いたり、
身体がリラックス出来なくなってきます。

これまでのコラムでもご紹介してきましたが、
交感神経が優位な状態では身体もリラックスしていないので、
子宮や卵巣への血流が乏しくなり、酸素不足、栄養不足から
機能が低下する可能性が高くなります。
ですから妊活中は出来るだけセロトニンを増やしておく必要があるのです。

セロトニンは脳内でも産生されますが、
そのほとんど(約90%)が小腸内で腸内細菌の働きによって産生されます。
もしも腸内環境が乱れ、善玉菌が少なくなれば
セロトニン産生は減少してしまいます。

必須アミノ酸である「トリプトファン」がセロトニンの材料になりますので、
食事にタンパク質を欠かさないように心がけましょう。