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妊活コラム

Ninkatsu Column

~養子縁組の選択~

上田 聡代/不妊症看護認定看護師
上田 聡代/不妊症看護認定看護師

妊活卒業の仕方は十人十色。

なかなか卒業できないで悩む人が多い中、
今回はタイミング療法までの選択で不妊治療をやめた若いカップルの声です。

20代の2人がクリニックを訪れたのは、約10年前です。

診断はPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)

卵巣刺激でタイミング療法を半年程実施されました。
医師が提案する前に、本人たちから「人工授精」の相談がありました。

医師からは、医学的に見ても、妊娠の可能性は十分あることが説明されました。
相談があった人工授精の方法や費用の説明を行った後、
しばらくクリニックを訪れなかった2人。

忘れたわけではありませんでしたが、
「自然妊娠しているといいのに」と、
願うことしかできませんでした。

1年ほど過ぎた頃、可愛い2か月の赤ちゃんを抱っこして
クリニックに遊びに来てくださいました。
思わず笑みがこぼれ、「家族が増えたのですね!」と問いかけると、
「実は、養子縁組しました。」と夫がしっかりと答えて下さり、
妻は朗らかに微笑んでおられました。

2人が選んだ家族の形でした。

先日、ホームページの看護相談から連絡があり、
メールをいただきました。

大きくなった女の子と、
その後自然妊娠した妹と一緒に撮影した4人家族写真。

どこから見ても幸せ家族。

夫から、「ぼくたちみたいな選択をする人もいることを知ってほしい。」
言って下さり、こうして書かせていただくことにしました。

確かに(^^;

桂川レディースクリニックでは、
不妊治療をして妊娠された方が多くを占めるので、
ついついその方たちだけの声をあげていました。

妊活卒業の仕方って、いろいろあるし、
何が正解で何が不正解なんてわからない。

いや、不正解はなく、選択した先での生き方が、
その時の正解を示すのだろうなと、
改めて不妊治療の奥深さを感じた出来事でした。

それにしても、たった10年ですが当時を思い出し、
今と比べると・・・

この間にできるようになった検査や治療が多々あり、
不妊治療の進化はいつまで続くのだろう。
選択肢が増えた分、患者は迷い悩む。
だからこそ、さらに丁寧な説明が重要であることを念頭に、
これからも真摯なチーム医療を続けていきます。

今回、ご連絡くださったカップルに感謝いたします。