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妊活コラム

Ninkatsu Column

「タイミングをとること」が、こんなに難しいなんて

酒井まゆみ/不妊症看護認定看護師
酒井まゆみ/不妊症看護認定看護師

妊娠され、治療を卒業された方に、
治療中に大変だったことをアンケートでお聞きしています。

その中で、よく目にするのが「タイミングをとることの難しさ」です。

先日、こんな声がありました。

「タイミングは、パートナーに負担を感じさせないように、
伝え方などとても気を使っていました。『なんで私ばかり気をつかうんだろう』と、
気持ちの余裕がありませんでした。
なので、人工授精に切り替わったときは、少しほっとしました」

この言葉を読んで、同じような気持ちを抱えながら妊活をされている方が、
ほかにもいらっしゃるのではないかと感じました。

相手を思いやるほど、自分の気持ちを後回しにしていませんか?

妊娠のために、排卵日を意識してタイミングをとる。

頭ではわかっていても、実際には簡単ではありません。

「今日がタイミングの日だと、どう伝えたらいいのだろう」
「仕事で疲れているのに、お願いしてもいいのかな」
「プレッシャーに感じてしまわないかな」
「断られたら、悲しいな……」

相手の気持ちを考えれば考えるほど、
言葉を選び、タイミングをうかがい、
自分の気持ちを抑えてしまうことがあります。

一方で、自分自身も妊娠したいという思いを抱え、
排卵日を気にしながら過ごしています。

本当は自分だって疲れている。
不安な気持ちもある。
できることなら、相手からも気持ちを理解してほしい。

それなのに、相手に負担をかけないように気をつかっていると、
いつの間にか心に余裕がなくなってしまうこともあるでしょう。

妊活は、パートナーと一緒に取り組んでいくものです。

けれど、相手を思いやる気持ちが強い方ほど、
自分のつらさを伝えられず、
ひとりで頑張ってしまうことがあります。

もし今、同じような気持ちを抱えているなら、
まずは「私も頑張っているんだな」と、
自分自身の気持ちを認めてあげてくださいね。

「タイミングの日」だけでなく、ふたりの気持ちを話してみる

タイミングをとることが難しいとき、
少し意識してみてほしいことがあります。

それは、排卵日が近づいてから伝えるのではなく、
ふだんの落ち着いた時間に、
妊活について話してみることです。

例えば、

「排卵日が近づくと、どう伝えたらいいのか悩んでしまうんだ」
「あなたに負担をかけたくないと思う一方で、
私も妊娠したい気持ちがあって、少しつらくなることがあるんだ」

そんなふうに、自分の気持ちを少しずつ
言葉にしてみるのもひとつの方法です。

大切なのは、相手を責めることではなく、
自分がどんな気持ちでいるのかを知ってもらうこと。

パートナーも、仕事の疲れやプレッシャーを
感じているかもしれません。
お互いの気持ちを話すことで、
初めて気づけることもあります。

また、排卵日が近づくたびに、
ふたりの間に緊張感が生まれてしまう場合には、
妊活のことを考えない時間や、
ふたりでリラックスして過ごす時間も大切にしてみてください。

もちろん、話し合えばすぐに解決するとは限りません。

無理に気持ちを切り替えたり、
上手に伝えようと頑張りすぎたりしなくても大丈夫です。

少しずつ、お互いの気持ちを知っていけたらいいですね。

治療の方法を変えることも、ひとつの選択肢

タイミングをとることが難しい場合、人工授精など、
次の治療方法を考えることもできます。

今回のアンケートに答えてくださった方も、
人工授精に切り替わったとき、少しほっとされたそうです。

人工授精は、採取した精子を子宮内に注入する治療です。
排卵の時期に合わせて精子を注入するため、
タイミングをとることへの負担が軽くなる場合があります。

もちろん、人工授精に進めば、
すべての悩みがなくなるわけではありません。
通院や排卵日の調整など、新たな負担を感じることもあるでしょう。

それでも、治療方法を変えることで、
気持ちが少し楽になる方もいらっしゃいます。

「まだタイミング法を続けたほうがいいのかな」
「人工授精に進むのは早いのかな」

そんなふうに迷っている方も、
どうかひとりで抱え込まないでください。

治療の進め方は、年齢や検査結果、
これまでの治療経過などによっても異なります。
パートナーと相談しながら、
医師や看護師にも気持ちを話してみてくださいね。

治療方法を変えることは、諦めることではありません。

ふたりにとって無理の少ない方法を探していくことも、
妊娠に向けた大切な一歩です。

あなたの気持ちも、大切にしてください

妊活中は、どうしても「妊娠するために何ができるか」
を一生懸命に考えます。

食事に気をつけたり、生活習慣を整えたり、通院を頑張ったり。

その中で、知らず知らずのうちに、
自分の気持ちを後回しにしてしまうこともあるのではないでしょうか。

相手に気をつかうことも、妊娠したいと願うことも、
どちらも大切な気持ちです。

だからこそ、相手を思いやるのと同じように、
自分自身の気持ちにも目を向けてあげてほしいと思います。

つらいときには、つらいと言ってもいい。
迷ったときには、誰かに相談してもいい。
今の方法が苦しくなったら、別の方法を考えてもいいのです。

妊活は、いつも前向きでいられるものではありません。

思うようにいかず、落ち込む日もあれば、
周りと比べて苦しくなる日もあるでしょう。

そんなときこそ、頑張り続けることだけを大切にするのではなく、
少しでも心が楽になる方法を探してみてください。

そして、ひとりで抱えきれない気持ちがあれば、ご相談ください。

あなたが少しでも安心して、
自分らしく妊活を続けていけるように、
妊娠に向けた治療だけでなく、
その過程にある皆さんの気持ちにも
寄り添っていきたいと思っています。