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妊活コラム

Ninkatsu Column

分割胚には”グレード”がある!?

塩見 朋也/胚培養士
塩見 朋也/胚培養士

こんにちは、培養部です。
暖かくなったな~と思っていたら雨が降って気温が下がったり、
晴れの日には花粉が飛び始めたり…皆様体調はいかがですか?
私は気温の変化に振り回されております…
体調が悪いかも、という時はゆっくり目にお過ごしくださいね。

これまでのコラムで、受精方法、受精確認とお話ししたので、
今回は受精後から胚の分割、その観察についてお話したいと思います。

まず振り返りから…

採卵当日、患者様からお預かりした卵子と精子を受精させます
(«体外受精法について»«顕微授精法について»)。

そして翌日、受精したかの確認を行います(受精確認について)。

それからしばらくすると、受精卵は”分割”をはじめます。

分割すると細胞の数が「2個、4個、8個…」と倍々になっていきます。

しかし中には1個の細胞から3個に分割してしまうこともあります(direct cleavage)。そういった”異常分割”を起こした胚は胚盤胞になりにくい、
との報告もあります(【分割時の異常所見って??】)。

そしてこの時点で”分割胚の評価”を行います。

分割胚の評価には上の”Veeck分類”というものを用います。

Veeck分類はグレード1から5に分けられます。1が良い評価、
5に近づくほど悪い評価です。
このグレードは割球の大きさの均一さと
フラグメンテーションの多さで決まります。

割球とは、分割した細胞1つ1つをいいます。

受精卵はもともと1個の細胞からどんどん分割していきますが、
1個の細胞から綺麗に2つに分かれる受精卵しかない、
というわけではありません。

中には2:8ぐらいの大きさで分かるものもあります。
そういう分割が続いたり、
一度分割した後に融合する(Reverse cleavage)ことで
割球の大きさの均一さは崩れていきます。

次にフラグメンテーション。つまり”細胞の破片”です。
細胞が分割するときに生じる欠片です。

上の表のグレード1と比較して5は小さい細胞(フラグメンテーション)で
構成されています。

このフラグメンテーションは胚盤胞まで到達したとしても
胚盤胞本体には取り込まれないことが多く、
結果的に胚盤胞の細胞数が激減する事にもつながります。
また、胚盤胞になったとしてもこのフラグメンテーションの多い胚は
妊娠率や着床率が明らかに低下する、との報告もあります。

というところで今回はここまで!
次回はこの胚がさらに分割を進めてどうなっていくのか?をご紹介します。
それでは次回をお楽しみに!